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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 12

イグネシアンの牡は額に巨大な角があり、巨体に任せて突進されると、グラディエイターの装甲を貫く事もある。
シェルからその報告を受けたクリスは、部下達に散開陣形を取るように指示した。
イグネシアンは突進力が自慢だが、単調な動きで一つの目標に全員突っ込んでくる。
だから倒す時には散開するのが基本である。
「ディオとアルトは両翼に大きく散開…私とジョアンでイグネシアンの群れの突進を受け止めた後、背後に回り攻撃…シェルは空中より援護」
「「了解!!」」

足が遅いが高出力の4号機と、高性能な1号機で囮となってイグネシアンを引き付け、高機動な2号機と5号機で背後から奇襲…
直線的な突進しか能の無いイグネシアン向きの戦術と言える。
だが、公国主力機のゲシュパルトでそれをやろうと思えば、ターゲット役にかなりの重装備を施さねばならず、これは新型機だからこその戦術でもあった。
そのクリス隊が進んでいくと、感応晶に光点が無数に浮かぶ。
忙しなく光点が動く様子から、イグネシアンも臭いでこちらの存在に気づき始めたのかもしれない。

目はそう良くないが、臭いには比較的敏感だ。
もしかすると、上空に居るシェル機に神経を苛立たせているだけかもしれないが…
クリスは慎重に散開陣形で光点に近付いていくと、上空を飛ぶシェル機が目視できる距離に到達した。
その下には、ようやく目視できる所でイグネシアンが小さく見えていた。
クリスは、ジョアンと共にあえて風上に陣取る。
囮として彼らに存在をアピールする為だ。
そうしてディオとアルトには大きく散開するように命じた。
囮と言えど慎重に進むが、イグネシアンの群れに感付かれるのはすぐだった。

一頭がクリス達に気づき、唸り声を上げる。
それに仲間が感付きクリス達の存在に気づく。
そして、クリス達に向かって唸り声を上げながら盛んに角を振り、威嚇のポーズを取った。
勿論、彼らの生態を熟知しているクリスは止まらない。
慎重だが、確実に距離を縮めていく。
ある程度の距離に近付いた瞬間…
イグネシアンの一頭が一際高い声で吠えた。
「きますよっ!、備えてっ!!」
クリスはジョアンにそう声をかけると、腰を落とし盾を構える。
ジョアンも腕を交差させ、腰を落として身構えた。

一頭の吠え声に続いて、残りも次々と吠える。
そして、クリス達がジリジリと距離を更に詰めたその時…
一頭が吠えながら動き始めた。

ドンッ!…ドドドドドドドッッ!!…

巨大な四肢を駆動させ、大地を揺るがして巨体が躍る。
つぶらな瞳を目一杯広げて血走らせ、ただ真っ直ぐにイグネシアンはその巨体を目標目掛けて走らせる。
その四肢が大地を蹴る度に、グラディエイターに乗るクリス達まで揺らし、荒野に砂の煙を巻き起こしながら迫ってきた。

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