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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 81

まぁ、原因は自分にある。

「ヒッヒッ〜〜………はぁ。何、お前?そんなに腹が減ってんの?」

何が面白いのかデルマーノは数分間、笑い続けると言った。
フィリムは顔を真っ赤にし反論する。

「し、仕方ないだろうっ。昨日の昼から何も食べていないのだっ!」

「ヒッヒッ……そうか。悪い悪い、そう怒んなって。もう焼けっからよ?」

「くぅ………」

デルマーノはそう言うと火からこんがり、と焼けた鳩を取り出し、一羽をフィリムに渡した。
デルマーノは己の分の鳩を短剣で切り分け、口に運ぶ。
口の中に迸る肉汁にデルマーノは満足そうに頷いた。

「うほほっ……うめぇ」

そう言うとデルマーノは一息で左股を食べ終わる。
その時、チラッ、とフィリムを見ると焼けた鳩を前に固まっていた。

「?………どうした?腹減っていたんだろ?」

「た、食べたいのは山々なんだが……食べ方が分からない」

「食べ方ってお前………」

そうデルマーノは呆れてフィリムを見るがよくよく考えれば当然である。
騎士団には勤めているが彼女は大貴族の令嬢なのだ。

「はぁ………仕方ねぇ……」

そう言うとデルマーノはフィリムへと近付いた。
鳩の丸焼きを挟んで向かい合わせに座るとデルマーノはフィリムの鳩を短剣で小さく割く。

「こう……斬ってだな………食うだけだ」

「ナ、ナイフやフォークは……」

「んなもんねぇ。別に気にすんなよ。ここにゃ、マナーを気にする奴ぁいねぇんだから」

「し、しかし……」

「たくっ……ほら、あ〜ん」

デルマーノは鳩の切り身を摘むとフィリムの口へと運んだ。

「あっ……ん」

頬を赤く染めながらもフィリムは小さく口を開けた。
デルマーノはフィリムの口の中へと鳩の切り身を入れる。

「っ?………おい、しい………」

「だろ?ほれ……これ、貸してやっから後は自分で食え」

デルマーノは短剣をフィリムに渡すとさっきまでいた場所へと戻り、食事を再開した。
フィリムはしばらく、じーっ、と渡された短剣を見つめていたがはっ、となる。

「おっ、お前は馬鹿かっ?敵に刃物を渡すなど……」

「別に……お前が武器、持ったって怖かねぇし」

「なんだとっ!愚弄するかっ?」

「イッヒッヒッ………さっさと食っちまえよ。冷めんぞ?」

「くっ………」

デルマーノは懐からナイフを取り出すと己の鳩を食べた。
フィリムを気にした様子はない。
その飄々としたデルマーノの反応が悔しく、フィリムは睨みながら鳩を小さく割き、食べた。
その時、ふっ、とある事を思い出した。
これで奴に一矢報いる事が出来るかもしれない。

「………そういえば、デルマーノ」

「……何だ?」

「崖から落ちた時、女の名を叫んでいたな?ふふんっ……存外、女々しい所もあるようで」

「ごっはぁ………げほっほっ……な、何を?」

思いの外、激しい反応を見せたデルマーノにフィリムは気を良くした。
更にフィリムは追撃をかける。

「確か名は………ソフィア、だったか?」

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