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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 72

「きゃあ〜……やったわね、デルマーノ君!」

「おめでとうございます。デルマーノさん」

フローラとヘルシオが待ち構えたように駆け寄り、祝辞を述べる。

「………お、おう」

「どうしたの、デルマーノ君?顔、真っ青よ?」

「……別に」

「まさか……」

アリアとフローラは顔を見合わせる。

「デルマーノ……アナタ、父上に会うのに緊張したの?」

「………そうだよ。悪ぃか」

「ぷっ……あはははっ」

アリア、フローラは声を上げ笑った。
ヘルシオも口元を抑え、肩を震わせている。

「笑うんじゃねぇっ。俺だってガラじゃねぇとはおもってんだ。しかし、まさかこんなに緊張すんとはな……」

デルマーノは珍しく、顔を赤くしたり青くしたりとした。

「ふふっ……デルマーノってば女王陛下に謁見する際にも平常だったのにね」

「ああ……ヤバかった。人生で一番、緊張したかもしんねぇ……」

フローラはまだ笑い、バンバン、とデルマーノの肩を叩いている。

「けっ…………んじゃ、お仕事をすんかね」

アリアにだけ聞こえるよう、デルマーノは彼女に耳打ちした。

「えっ?」

仕事といえば宰相からの依頼か。たしか、アルゴで来る事と……

「会場の警備?でも衛兵がいるわよ?」

「ヒッヒッヒッ……それは表の。俺がやんのは裏のだ」

ちっちっちっ、とデルマーノは人差し指を振るう。
そして左手を翳し、呪文を唱えた。

キイィィ………

中指にはまった緑の指輪が光り、アリアの目に写る物が全て青白く光る。

「えっ?な、なに?」

「真実の目だ。これに……ヘルシオ、なんか呪文を唱えろ」

「は?………はいっ」

フローラと談笑していたヘルシオは急な兄弟子の頼みにしどろもどろとなりながらも従った。
ブツブツ、と口の中に含むように呪文を唱える。

「…………火よっ」

ポッ……

ヘルシオの杖の先に小さな炎が浮かんだ。
その時、アリアの瞳には別の絵が写されていた。

「えっ……と………」

「どうだ?薄紅色に見えんだろ?」

「う、うん」

「うしっ。じゃあ、終わりだ。ヘルシオ……もう、いいぞ」

「はい……?、あの………」

デルマーノの指輪から光が消える。
それと同時にアリアの網膜は色を正常に捉えだした。
ヘルシオも言われた通り、炎を消したが何が何だか分からず疑問符を浮かべる。
「あ〜……気にすんな。大したことじゃねぇ」

「はぁ……でも……」

「ほら?あっちで豪勢な飯が出てんぞ?行ってこいよ」

「…………行ってきます」

首を傾げながらもヘルシオはフローラと共にホールの東側、ビッフェスタイルのテーブルへと向かっていった。

「………それで?どういうこと?」

既に人混みに紛れ、ヘルシオ達がどこにいるか分からなくなったのを確認してアリアは尋ねる。

「つまりだ、魔力に反応して赤くなんだよ。不可視の呪文対策でな」

「不可視?」

「ほら、ターセルで俺が使ったろ?あの、消えるヤツ」

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