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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 62

アリアは起き上がると自分が全裸である事にハッとなる。
一瞬、逡巡したが彼に今更、隠すこともないだろう、と何も纏わぬままアリアは浴室の扉を開けた。

ジャアアァァ……

丁度、桶から温水を流したところで、ムワッ、と熱気がアリアの頬を撫でる。

「………よぅ、起きたのか」

「起こしてくれれば良かったのに……」

「はっ、まだ出勤にゃ速すぎんぜ。もう少ししたら起こそうと思ってたんだよ」

「そう?……私も入って良い?」

「おう」

「………っと」

昨晩、散々乱れたのだ、とうに恥ずかしくはない。
そう自分に言い聞かせ、アリアはデルマーノの前に座った。
………やはり、少し、少しだけ恥ずかしい。

「ヒッヒッ………俺が洗ってやろう」

「ひゃっ……ちょっ、デルマーノ……」

いきなり背中に温水をかけられ、アリアは驚きの声を上げた。
背中を手拭いで擦られる感触に身をよじる。

ゴシッゴシッゴシッ……

逞しい腕からもたらされる力強いタッチが妙に心地よかった。
最後に背中を温水で流され、いよいよ前だ。

「イヒッ……身体が強ばったぜ?緊張してんのか?それとも……期待してんのか?」

アリアは顔を真っ赤にし、反論を告げようとしたが、出来なかった。
デルマーノの唇に口を塞がれたのだ。

「んっ……ちょっ、とぉ……」

「イッヒッヒッ……残念だがヤるには時間が足りないんだ。また今度な?」

「別に私は期待なんて……」

「してないのか?」

黒い眼差しに身体を射抜かれた。
彼の瞳には未だにドキッ、としてしまう時がある。
デルマーノに見つめられるとアリアは神の御前のごとく、正直に答えなければならない気になってしまうのだった。

「そりゃ……少しは、期待したけど……」

「ヒッヒッ……素直なのが一番だな」

デルマーノは手拭いを三つ折りにし、アリアの肩から腹に掛けて洗っていく。
その動作にいやらしさはなく、淡々としていた。
そのまま、特に問題はなくアリアを洗い終わる。

ザァッ、とデルマーノに温水を掛けられ、体についた泡を洗い流された。
情事の汗を洗われたアリアはすっきりとした気持ちで湯船に浸かる。

「イヒッ……ちょっと狭ぇが……」

アリアが少し前に詰め、スペースを作るとそこにデルマーノが身体を沈めた。
するとアリアはデルマーノに後ろから抱きつかれる形になる。
自分を抱く腕の逞しさに改めてデルマーノの体格の良さを認識した。
こうして湯に浸かりデルマーノに抱かれているとほっ、とする。

「ねぇ……デルマーノ?」

「?……なんだ?」

「私、貴方が好きよ……大好き」

「どうした?いきなり……」

「ふふっ……でもね、それと同じくらい尊敬しているわ」

「尊敬?俺をか?」

デルマーノは彼には珍しく、戸惑ったように聞き返した。

「うん。貴方はヘルシオ君も含めた何百人のターセル兵を救ったわ」

「…………どういう事だ?」

分かってるくせにデルマーノは惚ける。

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