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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 52

「………」

フローラは疑わしげな目でレベッカを見ると、無表情なメイドの顔に触れた。

「あっ……手触りが………本当に、ゴーレムなんだ…」

色だけで質感は未だ、ゴーレムのままなのであろう、フローラは納得する。
プルプル、と震えるフローラがアリアには噴火直前の火山に見えた。

「……〜〜っきゃあぁぁっ!すっごい!喋るし、可愛いし……もうっ、もうっ!」

フローラはレベッカを抱きしめ、喚く。
当惑するレベッカにアリアは同情の視線を向けた。
その時……

「…朝っぱらから、煩せぇっ!」

フローラの歓喜を打ち消すには十分な怒声が辺りに響き渡る。
怒鳴り声の元を見ると、上半身裸のデルマーノが不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。
髪が濡れているところを見ると行水の最中であったのかもしれない。

「デ、デルマーノ…君?」

フローラは信じられないようなモノを見た様に声を震わせた。否、実際に信じられないのだろう。
フローラは慇懃な仮面を被ったデルマーノしか知らないからだ。

「ふんっ……」

「ちょっと、デルマーノ……良いの?」

アリアはフローラを指差し、言った。

「はっ……てめぇの家でまで偽らなきゃならねぇ理由はねぇっ!」

そう言うとデルマーノはタオルで乱暴に髪を拭きながら、屋敷の中へと消えていった。

「………」

気まずい沈黙が場を包んだ。

「ねぇ、アリア……」

「………な、何かしら?」

「さっきの……何?」

「…………素よ、デルマーノの…」

「知ってたの?」

「………うん」

フローラの目がギラッ、と光った気がした。
アリアが一瞬、動揺で固まってしまう。
それを機にフローラはアリアの背後に回り込むと、胸を鷲掴みにした。

「やんっ……」

「私に隠し事とは……良い度胸ね。この、このっ」

「ちょっ…んんっ……止めてよぉ……」

「ここが良いのか、ここが良いのか?ほれ……あっ…」

フローラの動きが止まった。
不審に思ったアリアが彼女の目線の先を見るとレベッカが立っている。
いつもの無表情さが今は凄く冷ややかなモノに見えた。
アリアとフローラは顔を赤くし、急いで離れる。
じーっ、とレベッカに見られると余計に恥ずかしさが増した。

「レベッカ……その、ね?」

「私は空気。どうぞ気にせず、お続け下さい。同性同士というのも可、だと認識しています」

「「ちっが〜うっ!」」

メイドゴーレムの発言に二人は待った、を掛ける。
アリアとフローラは只、じゃれ合っていただけで自分達にはそっちの趣味はない、とレベッカに理解させるのにかなりの時間と労力を費やした。




「これは、これは……美人が揃ってこんなむさ苦しい所へ、ようこそ」

屋敷の入口で顔を合わしたノークは笑って二人を出迎えた。朝から美女が訪ねてきた為か、そこはかとなく機嫌が良さそうに見える。

「儂はもう、仕事じゃがな……弟子、二人は予定が無かった筈じゃよ。存分に話し相手にでもして下され」

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