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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 44

「近衛魔導隊」

「そう、それの……という事は今夜の晩餐に招待されているわよね?」

「ああ。俺とエーデル隊長はな」

「その時、私とリリアが亡命するって事を父に言いたいのだけど……その…」

ユーノは出すべき言葉が見つからなかった様で口籠もる。

「後ろ盾……じゃなくて…応援、でもない……」

「弁護、か?」

「っ!そう弁護っ。弁護をして欲しいの……」

「ああ、構わねぇよ。俺で良けりゃな」

「ありがとう……貴方じゃ少し下品で不安だけれども…」

「それなら、安心しろ。なぁ、アリア?」

振られたアリアはくすっ、と笑い、頷いた。

「ええ、そうね。ユーノ様は驚きになると思いますよ?デルマーノの猫被りに……」

「そ、そう……?」

ユーノは訳が分からず、曖昧な返事をし、会話が途切れる。
リリアがアルゴと戯れる声が辺りに響いた。




そして、晩餐……

「そちらのご婦人には挨拶はすましたがのだがな……シュナイツ王国近衛騎士隊。遠路遥々、ご苦労であった」

三十人は座れるのではないか、大きな細長い食卓に十数名の男女が座っていた。
上座にゼノビスV世と皇妃シンシア。
左右にユーノ、リリアそしてもう一人は恐らくヒルツ皇子であろう。
彼等に向かい合う様にデルマーノとエーデルが座っていた。
他に同席しているのはターセル皇国の要人達である。

「こんな時なのでな……粗食で申し訳ないのだが…」

「いえ、招待して頂き光栄です。有難く頂きます」

デルマーノは恭しく頭を下げ、世辞を述べた。
そんな彼の態度に驚いたユーノとリリアは目を見開いている。

「ふむ……貴殿は?」

「これは申し訳ありません。私の名はデルマーノ。近衛魔導隊の隊長を務めさせて頂いてます」

「なんとっ!貴殿が昼間、あの『翼竜騎士団』を倒した竜騎士か。兵から報告は聞いている。礼を言おう」

「私には勿体なきお言葉、有り難き幸せにございます」

普段は粗暴で下品なデルマーノだが、宮廷の礼儀作法はノークの教えを受けていた。
やろう、と思えばどの国に行っても失礼のない態度を取る事が出来る。
ゼノビス皇も非の打ち所のない彼の言動に気を良くした。

「本来ならば賞の一つも授けなければならないのだろうが、見ての通りでな……」

「恐れながら、ゼノビス閣下……その事でユーノ姫よりお伝えしたき事があります」

デルマーノの言う『その事』とはターセル皇国の現状の事である。

「ほう……我が娘、ユーノがか?」

「はい。後はご本人が……」

デルマーノはユーノを見て、どうぞ、と目配せをした。
ユーノはこくり、と頷き、父ゼノビスに進言する。

「父上。私とリリアはシュナイツ王国へ亡命しようと思います」

「…………続けよ」

「はい……何年、何十年掛かろうともターセル皇国を取り戻し、今までのような素晴らしい国に復興します」

「…そうか。ユーノ……強くなったな」

ゼノビスは目尻を下げ、優しくユーノを眼に入れた。

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