PiPi's World 投稿小説

元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 36
 38
の最後へ

元隷属の大魔導師 38

クレディア軍は当初、南門を『翼竜騎士団』二部隊を含む五百の兵で攻めていたが、これはあからさまな囮だ。
しかし、ターセル軍は兵を割かない訳にもいかず、現在、クレディア軍本隊がいる東門は圧倒的物量差でターセル軍劣勢となっていた。


そんな中、シュナイツ近衛騎士隊は、戦線に出る事は出来ないが、だからと言って皇城に籠もっているのも騎士道精神を刺激する、と言う訳で皇城の東に位置する演習場に待機していた。

武器の手入れをする者、鍛練を行う者、様々な中でアリアはフローラと話しをしていた。
「はぁ〜…戦いが直ぐそこで起きているのに参戦できないのって……こう、心にガ〜〜ってくるのよね」

「まぁ、フローラのイライラする気持ちは分かるわ……でも、私の髪を弄るのは止めて」

アリアの赤みがかった髪を梳く手を止め、フローラは言う。

「アリアってば……何でこんなに髪がサラサラなのよ?ズルいなぁ」

「何がよっ?」

アリアの声を無視し、フローラは続けた。

「そう言えば……デルマーノ君はどこ行ったのよ?」

「…………さぁ、知らないわ」

「あぁ〜……今の間は絶対、何か知っているでしょっ?ねぇ?」

「……いいえ、何も知らないってば」

フローラはアリアの顔をじーっ、と見る。

「………知ってた?アリアって嘘吐くと耳が赤くなるのよね〜」

アリアはばっ、と耳を両手で隠した。

「うっそ〜……ふふん、さぁ観念して……」

フローラに閉口し、アリアは空に目を向ける。

「っ!」

空を見た彼女の目には緑の影が写った。
アリアは立ち上がると腰の剣に手を掛ける。

「わぁっ!アリア、ごめんっ。そんな怒るとは……」

「フローラ……あれ…」

「……あっ」

フローラもアリアに倣った。
他の騎士達も気付き始め、臨戦態勢を取る。


バサッバサッ……


十二頭のワイバーンが演習場の土を踏んだ。
先頭のワイバーンの背に乗る翠の鎧を身に纏った騎士が声を発する。驚くべき事にそれは若い女のモノだった。

「……この隊の隊長は誰だ?」

その声に応え、エーデルが近衛騎士達の中から一歩、前に出る。

「私です。シュナイツ第一王女付き近衛騎士隊々長エーデル・ワイス」

エーデルの名乗りを受け、その騎士は兜を取った。鎧と似ている翠の髪をポニーテールにした、若い女性である。

「ほう、名乗ったか……私の名はフィリム・フィンドル。翼竜騎士団中隊長だ。それにしても……貴様らは戦にも出ず、何のつもりだ?」

「私達はシンシア皇妃及びユーノ姫、リリア姫の亡命の護衛として派遣されています。なので……」

エーデルの話しを切り、フィリムは言った。

「ははっ……シュナイツ騎士は腰抜け揃いか?んんっ?」

フィリムは高圧的に言うこと馴れているのだろう、アリア達を威圧する。

「なんだとっ?」

「おのれ、シュナイツを愚弄するかっ!」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す