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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 213

「……シャーロット、ソレはどの口が言っているの?もし、私とデルマーノが不仲に――とは言わなくても、上手くいっていない原因があるのだとしたら、ソレは間違いなく貴女でしょ?」

アリアは鬼気とする視線でシャーロットを穿ったが、当の吸血鬼は飄々としていた。

…………。
思い出しただけで、腹が立ってきた。
この吸血鬼シャーロットと、その従者にして同じく吸血鬼のジルはこの二ヶ月間、自分とデルマーノのデートを悉く邪魔したのである。
この前など、やっと撒けたと二人で宿に入って、――うぅんっ。
その時に現れたのだ。

「あははっ……この前は凄かったよねェ。大きい大きいとは思っていたけど、あんなに大きかったなんてさ。挟めるんだも――」

「シャーロットっ?いい加減にしなさいっ!」

丁度、シャーロットも同じ場面を想像していたのだろう、無邪気に感想をもらした。
慌てたアリアは真っ赤になって、その少女の台詞を制しようとする。
しかし、どうやらアリアでは真血種の吸血鬼をコントロールすることはできないようで、シャーロットは平然と続ける。
「私はもちろんだけとさ、ジルも羨ましがってたよ。まぁ、ジルだって小さくはないんだけどね」

「だからっ、シャーロットっ!このような公共の場所で――」

「このような公共の場所でそういう……なんか、男と女の――ってのはご遠慮願いたいんですが……。というか、お二人とも、私の存在を忘れてませんか?」

「あっ……」

アリアの激昂の叫びを男の声が引き継いだ。
そこでアリアは初めて、この近衛魔導隊の待機室にもう一人、人物がいたことに気が付いた。
ヘルシオ――元ターセル皇国の皇子である。
皇子である、のだが――

「ヘルシオ、いたんだ」

「いました。ずっと」

「あははっ……影、薄いなァ」

そう、薄いのだ。影が。
かく言うアリアも入室時にしっかりと視界に入れていたはずなのだが、今の今まで、完全に意識の外に置いていた。
ヘルシオの恋人にして親友、フローラには悪いが、正直――この近衛魔導隊の中では存在感が埋没してしまっているのである。

「そ、そんなに私は目立ちませんかっ?」

ふてくされたように小声で叫ぶヘルシオをシャーロットともになだめたアリアは、一段落着いたのを見計らい、退室した。
行き先は当然、食堂である。




近衛局一階北側の訓練場に食堂は隣接して建っていた。
昼食や喫茶の時に近衛騎士たちが利用するため、常時、席が三割ほどは埋まっている。
そんな食堂の隅、四人用のテーブルを占拠し、何事か話す二人の男へとアリアは一直線に向かっていった。

「……やぁ、アリアさん。こんにちわ」

だが、アリアが声をかけるよりも早く、その気配を察知した長身の男――デルマーノが口を開いた。
近衛局の食堂内であるため慇懃な口調だ。
その言葉に合わせ、視線をアリアへと向けたもう片方の男――ヴィッツは、こちらは心底、丁寧に挨拶する。

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