PiPi's World 投稿小説

元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 195
 197
の最後へ

元隷属の大魔導師 197

「…………そうか」

自分が原因だとは露ほども知らず、デルマーノは可哀想なものを見る目でたった一人の部下を眺めた。
ヘルシオはさらに数度、頭を手すりに叩きつけると頭を振り乱し、最後に嘆息する。
そして、幾分か落ち着いたのだろう、「どうぞ――」とデルマーノに先を続けるよう告げた。

「どうも、それがアリアの気に召さなかったようなんだ」

「そりゃ、そうよっ!貴方に向けられていたあれは恋をする乙女の眼差しだったわっ!」

「いや、そりゃないだろ。あのリーゼが惚れた腫れた、なんて感情を持ち合わせてるわけ――」

「い〜い〜えっ!リーゼ陛下だって、うら若い女……恋愛感情を持っているに決まってるわ!今回のことで、私は確信したのっ――貴方は一部の女性にモテるのよ。変わった女性にねっ!」

「それを言うなら、アリア……おまえはその変わった女性の筆頭になるんだがな?」

「うぐっ……い、良いわ、それでも!それでも良いから、貴方を他の女性には渡したくないのよっ!」

アリアの叫びは甲板に上がってきたばかりの騎士や生徒たちからの注目を集めるには充分な声量であった。
その日中からの大胆な告白にチラホラと拍手まで聞こえる。
我に返ったアリアは顔を赤くさせ、固まった。
デルマーノは呆れたように、しかし、どこか嬉しそうにヘルシオへ言った。

「な?というわけで……うら若いリーゼ陛下を誘惑した罰として、俺は女装をさせられたんだ」

「はぁ……大変ですね、デルマーノさん」

「おいおい、ヘルシオ。おまえは傍観できる立場じゃねぇぞ?この男の自尊心を粉々にする過剰な罰――発案者は誰だと思ってんだ?」

「はい?誰って、アリアさんじゃ…………ま、まさかっ」

ヘルシオは上司の質問に即答したが、それでは自分に問う意味が分からない。
そのため再度、思案してみるとある仮説が浮かんだ。
それならばデルマーノが自分に訊ねた理由も分かる。

「……フ、フローラ……さん?」

「正〜解。まぁ、おまえも俺の二の舞にならねぇよう――せいぜい、気を付けるんだな」

「……はい」

ヘルシオの肩を励ますように軽く叩くとデルマーノはエーデルから預かり受けた七星のエクソシスト、カスタモーセの本を脇に抱え、船内へと降りていった。
その途中、抱き付いてきたシャーロットを即座に引き離し、手荷物を肩に下げる要領でその幼女の身体を右手一本で持った。
その怪力を見て、ああ、やはり吸血鬼になってしまったのだな、とヘルシオは上司の背中を見つめた。

「……ねぇ、ヘルシオ君?」

「ぅっ、わぁあぁぁ…………フ、フフフローラさんっ?」

その時、唐突にかけられた女騎士の言葉にヘルシオは思わず、上擦った声を上げてしまった。

「わ、私は絶対に――絶っ対にっ、浮気などはしませんよっ!」

「……?……あら、アリアに続いてヘルシオ君まで告白?」

ヘルシオは甲板の縁に身を寄せるようにフローラから跳びすさると叫んだ。
フローラは疑問符を浮かべて、再び訊ねる。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す