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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 184

デルマーノとシャーロットを乗せた天蓋付きの寝台が幾何学模様の赤く発光する円に包まれる。

「いくよ?…………んっ……」

シャーロットはデルマーノの首筋をチロチロとその朱い舌で清めるように嘗めると鋭く尖った二本の犬歯を突き立てた。
二人はそれぞれ、妙な感覚を覚えた。
デルマーノとシャーロットの元々は別の魔力が一つに溶け合うような、身体が一つになるような不思議な感覚である。
隷属化契約が初めてのデルマーノはもちろん、複数回の経験があるシャーロットも今までに感じたことのない魔力の動きであった。
だが、相手が異性であること、そして強大な魔導師であることなど異例なことばかりだったため、この違和感も大して気にする必要はない、と判断する。


どれくらいの時間が経っただろう。
三十秒くらいだった気もするし、十分以上だった気もする。
シャーロットは自分たちを取り囲む魔力の渦が消えていることに気が付き、そっとデルマーノの首筋からその牙を抜いた。

「はふぅ……」

シャーロットは恍惚な表情で溜め息を漏らした。
隷属化の儀式は被体が快感を感じると共に真血種自身も同程度の快感を味わうのだ。
シャーロットはその悦楽から我に返るとベッドを降りた。

「……お兄ちゃん?」

シャーロットはおそるおそる、といった様子でピクリとも動かないデルマーノに声をかけた。
主の背後へと立ったジルも心配そうに見守る。

「…………お兄ちゃん……」

再度、シャーロットは呼びかけた。
その声は僅かに震えている。
シャーロットはデルマーノを隷属化するにあたり、彼が生き残れるよう、考え得る全ての予防策を行使した。
しかし、それでもダメだったのか。やはり、自分は異性を隷属化することはできないのか。
そう考えたシャーロットが今にも泣き出しそうになった瞬間、

「……ぁ……ぅ」

デルマーノの唇から吐息が漏れた。

「ッ?」

シャーロットとジルは硬直させた顔をほころばせ、デルマーノへと詰め寄った。
それを待ち構えていたかのようにデルマーノはパチリと目蓋を開くと二人の吸血鬼へ交互に視線を送る。

「お、お兄ちゃんっ!平気っ?大丈夫っ?」

「デルマーノ様っ!」

表情を輝かせるシャーロットとジル。
デルマーノは口を億劫そうに開くとそんな主従へと言った。

「シャーロット。拘束を解け」

「え?――っ!」

デルマーノが発した儀式後の第一声にシャーロットは意味が分からず、疑問符を浮かべた。
しかし、次の瞬間、彼女は己のとった行動に目をむく。
なんと、シャーロット自身のその手でデルマーノの拘束具を外していたのだ。
もちろん、そんな命令を彼女の脳は発してはいない。

「……、……、……んっ――と。あ〜あ、跡が付いちまったよ」

自分自身の行動に目を白黒とさせるシャーロットに手足の拘束を解かれたデルマーノは拳を何度か握り、開くと身体を震わせて全身に血を巡らせて言った。

「……な、なん……で?……」

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