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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 178

荒くなった息を整え、ある程度の平常心を取り戻したシャーロットは闇色のナイトドレスのスカートをたくしあげ、己の愛液でベトベトになったデルマーノの顔を見つめた。

「はぁ〜っ……あははっ、イカされちゃったね」

ベッド脇に置かれた薄手のタオルでデルマーノの顔を拭きながらシャーロットは笑って言う。
デルマーノはシャーロットが平常を取り戻したのが気にくわないのか憮然と答えた。

「ああ。おかげで顔がベタついて仕方がねぇ」

「むぅ……だから、拭いてあげてるのにぃ〜。第一、イっちゃったのはお兄ちゃんの責任じゃん」

唇を尖らせてシャーロットは拗ねたように言ったが直後、スッと顔を落としてその唇を重ねた。
不意打ち気味の接吻にデルマーノは驚いたが、彼が何かしらの反応を取る前に舌を一度だけ絡したシャーロットは唇を離してしまった。

「ふふっ……こういうキスに憧れてたんだ。吸血鬼って言っても女の子だからね」

「女の子……ねぇ。実年齢はいくつだ?」

「い、い、のっ!見た目は女の子なんだから」

どこか呆れたように揶揄するデルマーノにシャーロットは頬を膨らませ、わざと幼げに見せる。
しかし、実際に彼女は本心を語っていた。
その隷属種を作ることのできない吸血鬼にとってあまりにも欠落した特異性のため、産まれた時より独りきりが日常と化していた。
生者たちはもとより、同じ真血種の吸血鬼ですらシャーロットを気味悪がり、まともな会話もしたことがなかった。
自暴自棄になったシャーロットは実父グレイニル伯へ挑み、四日に渡った死闘の末に倒してしまい余計に孤独になった。
そんな訳で普通の吸血鬼が追ってこられないよう(アンデッドは大きな川や海を渡る事に抵抗を感じるらしい)ワータナー諸島に渡って、順調に隷属種を増やしていったシャーロット。
はっきりと意思があり、会話が成立するのはジルのみだったがそれでも彼女の孤独は大分マシになった。
そんなある時、二ヶ月に一、二回の餌を確保に向かったジルが失敗し、そのうえボロボロになって戻ってきた。
別に人間をおもんぱかった訳ではないが、ただ平和に暮らしていたかっただけのシャーロットは最低限の食事で満足していた。
だから、自分たち吸血鬼に対策を講じられたとは考えにくい。
だが、このジルを実力で負かすことのできる相手というのも想像できなかった。
聞けばエクソシストではなく、魔導師の、しかも若者だという。
だが、その時は少し興味を引かれただけで、そこまで気には止めていなかった。
どうせ、次の晩には配下の隷属種たちが総動員で制圧に行くのだ、それまでの命だろう、と思っていたのだ。
しかし、その予想は裏切られた。
隷属種たちが出向いている間に逆に攻め込まれたのである。
しかも、訪れた魔導師はとても一般の魔導師とはかけ離れた印象の青年であった。
その青年は強く、賢く、全身全霊をかけて自分に挑み、詰み一手前まで責められた。
そんな人間がいるなど思っていなかったシャーロットは驚愕した。

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