元隷属の大魔導師 161
「そ――そんな、こと……決して……」
フイッと主から顔を背けるジル。
彼女の顔は真っ赤に染まっており、性交に対して興味があるのは明らかだった。
シャーロットも当然、侍女のそんな感情を把握しており、「むふふ〜〜」と笑うとデルマーノに尋ねる。
「ねぇ、お兄ちゃん?ジルにご奉仕して欲しいよね?」
「あぁっ?んな、わけねェだろうがよっ」
デルマーノは「何を言っているんだ、殺すぞ」という思考を視線にありったけ込めて、シャーロットへ送った。
しかし、シャーロットはその返事を予想していたのだろう、即座に続ける。
「だってさ、ジル……どうする?」
シャーロットはその容姿には甚だ似つかわしくない老獪そうな笑みを浮かべてジルへと尋ねた。
デルマーノが己の失言に気が付き、顔色を変えたのとジルがシャーロットの言葉を受け、ある事を閃いたのは同時であった。
「……デルマーノ。貴方は私の口技は味わいたくないと申しましたね?」
「い、いやっ、言ってねぇ……言ってねぇからなっ!」
「いえ、言いました。私は貴方が嫌がる事をしたい……」
シャーロットのデルマーノへ敵意を燃やすジルをけしかけたその手際、見事としか言いようがない。
要はここに来て、妙なプライドで足踏みをするジルへ『デルマーノへ一矢、報いる事ができる』という大義を与えたのだ。
もちろん、平常のジルであればそのような手には絶対に引っかからない。
しかし、現在のジルの瞳は色欲で潤んでいた。
ジルはベッドの上に這い上がるとデルマーノの両脚の間に身を置いた。
丁度、デルマーノの逸物を挟んでシャーロットと向かい合う形である。
仇敵のモノから溢れでる淫液と主の唾液でヌラヌラと魔導照明を反射するソレにジルは恍惚とした表情で唇を近付けた。
「あっ……ジル、ダメよ」
「っ?」
やっとの事で覚悟を決め、いざ――という時に待ったをかけられたジルは潤みきった目で主を見つめた。
シャーロットはデルマーノの腹上から退き、デルマーノに己のソレとソレに顔を近付けたジルが見えるようにする。
そして、侍女服を身に纏った従者であるエルフのその長い耳に口元を寄せると何事が囁いた。
主のその言葉を聞き終わったジルは一瞬で顔を耳の先まで紅潮させ、伏し目がちに反論を試みる。
「シャ、シャーロット様……私は、そんなこと……を……いえま、せん……」
「ええ〜っ……せっかくのご奉仕なんだから――さ」
「ですが……」
「それに……きっと、お兄ちゃんは嫌がるよぉ?」
「ぅっ………………」
シャーロットの言葉を受け、その視線を己へと向けたジルにデルマーノはたまらなく嫌な予感を覚えた。
そんなデルマーノとは裏腹にジルはモジモジと指で目前のソレを弄りながら、逡巡の後に言った。
「ご……ごご……」
「……ご?」
デルマーノは先程まで己へ敵意を向けていたジルの雰囲気の変わりように眉を顰めて聞き返す。
「〜〜っ!ご、ご主人様……このジルめが、ご主人様のお、お……おち○ちん……をご奉仕いたします……」