元隷属の大魔導師 159
粗野な印象を受けるデルマーノだったが少なくとも性のモラルだけはしっかりしているのだ。
しかし、「好きなヒトとしかしない」とシャーロットへ言い聞かせようとした彼の目論見は大きく外れた。
「うぅ……さっすが、お兄ちゃん。良いこと言うなァ」
目を潤ませて感激するシャーロットを見て、デルマーノは頬をヒクつかせる。
「お、おい、クソガキ……」
「でも、大丈夫っ。私、お兄ちゃんの事、大好きだからっ!」
「そうじゃねぇ……そうじゃねぇんだよ!」
「んふふ〜〜っ、照れなくてもいいよ」
「ちょっ、待て……」
デルマーノは元来、人をくったような言動を行い、本当に一部の人間にしか彼を制御する事は不可能である。
だが、そんな彼にも――そんな彼だからこそ、自分を超えるシャーロットの身勝手さには手を焼いていた。
シャーロットはベッドの上を匍匐して身体を動かすとデルマーノの逸物へ顔を近付け、ソレをマジマジと見つめる。
丁度、デルマーノの胸に跨るような体勢であった。
「ふ〜ん……男の人のってこうなってるんだぁ……ほら、ジル〜。この穴から子種が出るんでしょ?」
「そうだと、思います。しかし……グロテスクですね」
いつの間にかジルはベッド脇に腰掛けており、主人と同じようにデルマーノのソレを観察すると酷評した。
「ん〜、そうかなぁ?私は結構、可愛い――きゃっ?」
従者の感想に不満そうなシャーロットは突然、目の前のモノがビクッと跳ね上がり、反射的に悲鳴を上げた。
「わ……大きくなった」
「なるほど。このように海綿体へと血流を送るのですね。ですが刺激は与えてませんが?」
ジルの疑問を耳にしたデルマーノは目を閉じ、無意識だからこそ余計に傷つくその台詞に堪える。
なにせ、デルマーノはアリアとしかシタ事がないのだ。
そんな童貞に毛が生えた程度のデルマーノに種族と中身に多大なる問題があるものの外見だけらば美女と美少女に己自身をジロジロと鑑定され、反応するなと言う方が無理があった。
グングンと大きくなる自身のソレをデルマーノは忌々しく思ったがどうにもならない。
「あははっ……おっきい〜〜っ」
「む、ぅ……これは――ますます…………それにしても……」
二人の吸血鬼の感想を耳にしたデルマーノは心の底から死にたくなった。
穴に入りたい、どころか穴に入りその穴に生き埋めになりたい気分だ。
「…………っ!……くっ」
そんな事を考えているとその元凶とも言えるソレに突如として与えられた刺激にデルマーノは思わず、呻いた。
シャーロットがその細く、小さな手の指先ですでに隆起し、反り返ったデルマーノの逸物を撫でたのだ。
おそらく偶然だったのだろうが裏筋をなぞるように触ったため、デルマーノは完全に不意を突かれた形となる。
「び、びっくりしたぁ〜〜。突然、ビクンッて跳ねるんだもん」
そう言いつつも本能的にデルマーノが感じた事を察し、その胸中に湧き上がった雌としての悦びにシャーロットは感動した。
「ジルも……ほら……」