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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 131

「それに今回の一件には関係ないしね。それじゃ、まず………コレを読んで。デルマーノからよ」

ウルスラは修道服の懐から二枚の紙を取り出すと机の上に置いた。

「一つは関係者、全員宛て。もう一つはアリアさん宛てね」

その場にいる者達が机上の手紙を覗きこんでいるとウルスラはその内の一枚を再び、手に取るとアリアに渡す。

「読むなら後でね。あと、貴女が内容を知られても構わないと思う人間にならば読ませても良いんだってさ」

「わ、分かりました」

「………で、こっちは?誰か代表して読む?回し読みは時間の無駄よ?」

ウルスラの問いに一同は顔を見合わせたが、最終的に部下であり、代理人でもあるヘルシオが音読することになった。

「こほんっ!え〜っ……では。『おはようございます、皆さん。貴女の味方、デルマーノです。そんな困った顔はしないで下さい。私まで悲しくなってしまうでしょう?それでは、元気が出るよう、小咄を一つ。あるところに羊飼いの少年と猟師の少年がいました。二人は幼い頃から大変、仲が良く………』」

集まった姫や騎士たちは蕩々と手紙を読むヘルシオに困惑の視線を向ける。
2枚目の中程に突入し、小咄はオチに入った。

「『ガサリ、ガサリ。羊飼いの少年が目にしたのは、狼の毛皮を被り、息絶えた猟師の少年でしたとさ。どうですか?落ち着きましたか?』」

「落ち着くかぁっ!」

エリーゼが椅子から勢いよく立ち上がるとそう、叫んだ。
誰も止めようとはしない。
皆、同じ気持ちだったからである。

「な、ななな何、これっ?小咄する意味が分からないし、第一、これって小咄なの?オチはあったけど、後味が悪すぎるでしょっ!」

「す、すみません。私は書いてある事をただ………」

エリーゼに詰め寄られたヘルシオは元皇族にも関わらす、謝罪した。

そんなヘルシオの様子を見て少しは頭が冷えたのかエリーゼは椅子に座り直すと苦々しく言った。

「…………続けなさい」

「は、はい。『―――いま、怒った方がいますね?短気は損気ですよ?少し、牛乳や魚を食べた方がいいですね』……」

ピクッと眉を跳ね上げたエリーゼを手紙で顔を隠して窺ったヘルシオは恐る恐る、続けた。

「…………『では、本題に入ります。私はただいま、ワータナー王城ベルトコルタの書庫にいます。詳しい事情はこの手紙を持ってきた助祭様が説明してくれるでしょう。最後に皆さん、無事を願います』」

2枚目の手紙をテーブルに置いたヘルシオは集まった一同の視線に顔を青くして怯える。
その視線たちは総じてこう言うのだ。

『それで、終わり?実質、内容が書いてあったのは半ページだけじゃないか』

と。
その中で一人、ウルスラは腹を抱えて、机に突っ伏していた。

「……ウ、ウルスラ姫」

「姫はいらない。呼び捨てか……まぁ、さっきみたいにさん付けね」

このままデルマーノの手紙を皆で睨んでいても仕方がない、とウルスラに声をかけたアリアに女助祭は不機嫌に答える。

「……ウルスラさん。事情を説明して頂けますか?」

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