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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 107

アリアが口を開く前にデルマーノは宝石箱の中からネックレスを取り出す。
先には親指の爪程度の大きさの透明な石が飾られており、白金で彩られていた。

「………これを貰おう」

「はっ……こん中からそれを選ぶたぁ、良い目をしてんな」

一瞬、驚きに目を見開いたノルックは次にがっはっはっ、と笑い、デルマーノの背中を叩いた。

「痛っ……いくらだ?」

「ん〜………大マケにマケて……金貨三枚」

「なっ!」

ノルックの示した金額にアリアは吹き出すが、デルマーノは気にした風もなく、財布代わりの袋を紐を解き、取り出す。
そして、無造作に袋を弄ぐると小さな耳障りの良い金属音を鳴らし金貨を三枚、更に銀貨を二枚、ノルックに手渡した。

「…手間賃だ。白金の加工は面倒くせぇからな」

「ふっ……まいどっ」

ノルックは黄色い歯を見せて笑うと、硬貨を自身の財布にしまう。

「んじゃ、帰るわ。機会があったら……また、会いてぇな」

「けっ………」

デルマーノは口では悪たれるものの、目は愉快そうに笑っており、ノルックの差し出した手とがっしり、握手をした。
ノルックは酔いに足下をふらつかせながらも、宝石箱を片手に店の扉から夜闇に消えた。

デルマーノはノルックから買ったネックレスをアリアの前に優しい手付きで置く。

「ほれっ………やるよ」

「で、でも……」

「?……なんだ?」

「水着も……買って、もらった………し……」

愛しいデルマーノからのプレゼントなのだ、勿論、欲しいし嬉しい。しかし、水着に続き宝石まで買って貰うというのは………。
欲求と遠慮の狭間でモジモジと椅子の上で身を揺らす、そんなアリアがデルマーノは可愛くて、愛しくて堪らなかった。

「ヒッヒッ……遠慮する事はねぇ。コレがこの値段なら安い買い物だったしな」

「でもっ!……金貨三枚よ?」

「ふんっ………普通に買ったら三倍は優にするぞ?だから、貰ってくれ。別に俺ゃ、金には困っていない」

「…………」

アリアは沈黙し、デルマーノと机の上に置かれたネックレスを交互に見比べる。
そして、最後にデルマーノと視線を絡ませると小さく頷いた。

「……いるか?」

「………うん……ありがと」

「ヒッヒッ!」

「それでね………」

「?」

「付けて?」

「?………別に、構わねぇが……」

デルマーノは立ち上がり、座ったアリアの隣へと来るとネックレスを手に取る。
アリアはネックレスが首に通しやすいよう、クイッ、と顎を少し上げ、目を瞑った。
その姿は接吻を待ち望んでいるようにも見えなくはない。
デルマーノは忘れた頃に仕掛けられるアリアの男泣かせの態度にドキリ、と鼓動を跳ね上げた。

(………何が怖ぇって無意識でやってんとこだな)

デルマーノは口の端を小さく上げ、顔を綻ばせるとネックレスをアリアの首に通した。
留め具を止めた僅かな音を耳で拾ったアリアは目を開ける。
ネックレスが首に回されている事を確認すると向日葵の大輪を思わせる笑顔をデルマーノへと向ける。

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