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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 65

「姉様…帰ろ…」
「?!…駿…王…丸?…」
手を差し伸べられ、逆に驚く静那に、駿は笑顔で静那の手を掴んで言う。
「僕は駿王丸じゃないけど…今日から僕は姉様の弟になるよ…だから、帰ろ…家族の所に…」
駿の優しい笑顔に戸惑ったままの静那…てっきりこの女と共に自分の前からいなくなると思っていただけに、駿の行動にどうして良いか解らず、完全に困惑していた。
「…家族?…」
「うん、家族…僕の家族…そして、姉様の家族…」


駿はそう言いながら、静那を優しく抱きしめ慰める。
絶望の静那に差し伸べられた希望の言葉は、彼女の心に静かに、しかし確実に刻み込まれていく。
そして駿はとどめとばかりに静那の唇を優しく触れると、肩をつかんでこう言った。

「大丈夫。もう誰も姉様をいじめたりなんかしないから。
 さ・・・お家に帰ろ?」

その瞬間、静那の脳裏に浮かんだのは幼い頃の記憶。
自分が人間だった頃の思い出。
幼い頃の静那は武家の生活に耐え切れず、よく泣いていた。
それを支えてくれたのは弟の駿王丸だった。
彼は自分よりはるかに劣る存在でありながらいつも姉を気にかけていた。

『大丈夫、姉様?』
『姉様はぼくが守ってあげる』

その時の駿王丸の姿が、駿の姿と重なる。
静那は自然とうなずき返し・・・。子供のように答えた。

「うん・・・静那、お家に帰る・・・」

それは神薙の家に新たな家族が増えた瞬間であった。
「良かったねお兄ちゃん。弓姫さん、さっきはお兄ちゃんを助ける為とは言え酷い事をしてごめんなさい。」
明日香は静那のところへ行くとぺこんと頭を下げ謝りにきた。
「よいよい、そちも駿王丸を想って戦っただけじゃ謝らなくて良いぞ。」
謝りに来た明日香に静那は優しく微笑み許した。
「ありがとう弓姫さん。」
弓姫に許されて満面の笑みを浮かべる明日香。
明日香は仲直りの握手をしようとその手を差し出すが・・・。
その瞬間、静那はビックリして駿の背後に隠れる。
今までの空気をブチ壊しにするその反応に、さすがの明日香も少々傷ついた。

「あ・・・れ?どうした・・・のかな?
 私、ただ仲直りの握手をしようと思っただけなんだけど・・・」
「あ、い・・・いや、そうでしたか。それは失礼した」

静那はそう言ってようやく握手に応じるが、手を握った明日香は静那の心情をすぐに理解した。
彼女は明日香に怯えているのだ。

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