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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 60

この間合いなら、弓より早く明日香の剣が届く。
静那もそれが解るからこそ、弓を捨て刀を抜いた。
「不意打ちとは、野蛮極まり無い戦い方ですわ!!」
「ひっかかる方が悪いんじゃない!」
お互いの最初の会話は罵り合いから始まった。
勿論、静那は簡単に引っかかった自分に対する憤りもこもっていた。
逆に明日香の方は、ここまで簡単に引っかかってくれるとは思っていなかった。
祠に入る前に佳代から聞いた注意…
もしはぐれた時に弓姫と遭遇したら、『油断を誘い、奇襲を仕掛けて逃げる』と言うもので、恐怖感一杯の明日香は開き直って破れかぶれでやってみた訳だ。
尿の匂いはわざと漏らし、岩は二つ投げる。
本来ならそのまま逃げたらいい訳なのだが、やはり駿の匂いに逃げる事ができず、一か八かの勝負に出た訳なのだ。
もうこれで明日香に作戦は全くないが、逆に開き直って堂々と静那の前に居る。
そして、サーベルを突き出す独特の構え…静那には全く馴染みの無いフェンシングの構えだ。

流石に少し戸惑う静那…彼女の生きた時代は、まだ剣術は確立されていなかったし、突く武器である槍も一般的には使われていなかった。
だから、明日香の構えは静那には全く想像できないもので、戦上手と言われた彼女も戸惑いを見せるしかなかった。
皮肉なもので、一番未熟かもしれない明日香が、静那にとって一番厄介な敵であったのかもしれない。
「お兄ちゃんを返して貰うんだからぁーっ!!…」
開き直っている分、明日香の動きは早い。
サーベルを突き出し、嵐のようなラッシュを繰り出す。

多少の技の未熟さを、屍美女の身体能力で埋めて繰り出す突きに、少し戸惑っていた静那が防戦に回る。
「なんと面妖な剣術なのっ!」
驚いて防戦に回りながら、静那は明日香の剣筋を見極めようとする。
やはりそこは未熟な明日香…突きのスピードは早くても、隙が結構生じる。
静那は明日香の突きを捌きながら、反撃に転じていく。

「名乗らずに斬りかかるとは、武士の風上にもおけませんわっ!…下郎、名ぐらい名乗りなさいっ!!」
名乗り合ってから戦う由緒正しき源氏の姫君は、明日香の横暴に憤慨しながら攻撃を捌き、反撃を試みる。
「神薙明日香よっ!、文句あるっ!!…」
明日香の方も怒鳴りながら反撃させまいと更に激しく突く。
「知りませんっ!、神薙某なんてっ!!…妾と弟の為に、やられてしまいなさいっ!!」
ようやく明日香のパターンを読めてきた静那も怒鳴り返しながら間合いを詰めようとする。

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