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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 283

マリナの心の傷は思った以上に深いものらしい。
駿が早く立ち直らなければ、マリナは衰弱死していたかもしれない。
佳代たち屍美女たちはとても強くて有能だが、さすがに医者の心得はないだろうから。
駿は今の現状をこれほど早くに知ることができた幸運に感謝しつつ、悲しい笑顔を浮かべる留美を励ます。

「大丈夫だよ、留美さん。
 僕と留美さんの2人で励ましていけば、マリナさんも元気になるって」
「そう・・・でしょうか?」
「そうだよ!
 あきらめないで生きようとしたから、姉さんやみんなを助けられたんだもの。
 きっと今度だってそうさ。あきらめなければきっと立ち直ってくれるって!」

やはり不安なのだろう、自信の持てない留美に駿は力強く励ました。
駿の励ましは留美に一筋の希望を与えた。
彼の言うとおり、駿はあきらめなかったからこそ、救えなかったはずの人たちを救ったのだ。
この事実ほど、彼女を勇気付けるものがあるだろうか?
留美は瞳を潤ませながら、駿に深く感謝せずにはいられなかった。

「ありがとうございます、駿さん。
 そうですよね、私があきらめちゃったら、何もできませんよね。
 私・・・がんばりますっ!」
「ん!じゃあ僕はマリナさんと会ってくるから。
 留美さんもがんばってね」
「はいっ!」

留美は元気よく返事をすると、冷めた食事を持ってその場を後にした。
留美のほうはこれで大丈夫だろう。
駿は気を取り直すと、いよいよ問題のマリナの部屋へと入室した。
部屋に入ると真っ暗な部屋の隅でマリナはうずくまっていた

「マリナさん、駿です。」


そう呼ばれるとマリナはうつろな目で駿を見た
希望なんて無い絶望しか映ってない瞳で・・


「えっと・・・」


励ますつもりで部屋にきたが、いざマリナを目の前にするとどう励ませばいいか分からなかった


するとマリナが突然語り出した

「ねぇ‥どうして私生きてるのかなぁ?」

「え?」

駿は思わず声をあげてしまった

「勇人が居なくなった世界で生きてる意味なんてあるのかなぁ?」

「いっそ私も化け物になれば全部忘れられるかなぁ?」

物騒なことを口走るマリナを見て、駿は全身から鳥肌が立った。
屍美女たちは一度死んでよみがったがゆえに、人一倍(?)生きる意思が、欲望が、本能があった。
だからこそ彼女たちは生の究極の行為とも言うべき、生殖行為に走ったのかもしれない。
だがマリナは違う。生きる意欲などまるでない。
むしろ死ぬことを願っている。
生ける屍とは、きっと今の彼女のような人を言うのだろう。
そんな中、マリナはゆらりと立ち上がると、亡霊のような足取りで歩いてくる。

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