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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 281

ならば再会のときまでに、マリナを立ち直らせることが自分の仕事だ。
そう考えた駿は先ほどまでの雰囲気はどこへやら、元気よく立ち上がってマリナの部屋へと向かう。

「げっ!?こっちに来る!?」
「は、早くここから逃げないとっ!」
「痛っ!?ちょ、響香ちゃん、そんなに押さないでっ!?」
「きゃううっ!?」
「あ、こらおまえたち!おとなしくしてなさいっ!?」

これにあわてたのは彼を見守っていた屍美女ご一行だ。
駿が元気になったのはいいが、何もできずにあなたを見守っていましたなんてこと、知られたくない。
しかし大人数で集まっていたために、現場は大混乱。
足は踏まれるわ、潰されかけるわで逃げるどころではなくなってしまった。

「・・・?」

そこに出入り口でどたばたと騒ぐ物音を不審に感じながら、駿が扉を開けた。
すると扉の向こうで騒いでいた面々が、雪崩のように転がり出てきた。
駿は運よくそれをかわせたものの、他の面々がどうなったかなど言うまでもない。

「う、うわわっ!?み、みんな?」
「むぎゅー・・・」
「く、苦し・・・!早くどいて・・・っ!」
「しくしく・・・駿ちゃあん、早く助けてぇ・・・」

団子状態で雪崩れ込んできた家族に、駿は驚きつつもすぐに狐娘・羊娘と共に救出活動に入る。
勢いよく出てきたものだから、駿はみんながケガしてないか心配だったものの。
そこは運がよかったのか、屍美女だからか。
一番下で潰されていた智恵美も含め、誰一人ケガはなかった。
しかし気まずいのはここからだ。
駿は落ち込んでいたところを見られ、家族たちはそれをどうすることもできなかった。
響香たちは何と言えばいいのかわからず、嫌な沈黙がその場を支配しようとする。
そこで真っ先に動いたのは、悩みから立ち直った駿だった。

「うわ・・・。みんな、心配して来てくれたの?
 うわ〜・・・恥ずかしいところ見られちゃったな〜」
「いいい、いや、これはそのっ!」
「そそそそうだよっ!お兄ちゃんのことが心配だったとか、そーゆーことじゃなくっ!」
「明日香殿っ!よけいなことを言うではありませんっ!?」

あわてふためく家族たちの様子に、駿は苦笑を浮かべるしかない。

(そうか。自分はこんなにもみんなを心配させちゃってたんだな――)

駿は少しだけ反省すると、彼を励ますように頭をこすり付けてくる獣娘たちの頭をなでた。
そしていつもの笑顔とは違う、もっと優しさだけでなく慈愛に満ちた笑顔を浮かべてこう言った。

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