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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 280

大事なマリナが生きていて、化け物たちのエサになるところから助けられたのだ。
自分はもういなくなるけど、あの船の連中がきっとよくしてくれるだろう。
死を目前にして、勇一はそんなことを考えた。

「・・・・・・」

そして何か口を動かした次の瞬間、勇一と魚娘の姿は消えていた。
響香には彼が川に沈む間際、マリナの名前を呼んだように思えてならなかった。

――――

「・・・・・・」

甲板の上で、駿は悲しそうな表情で静かに遠くに見える島を眺めていた。
合流するもまもなく勇一と田中を失った一向は、その後屍美女に襲われることなく、無事島から脱出することができた。
どうやらあのタコ娘と魚娘は、屍美女の中でもかなり特殊な部類だったらしい。
注意はするが、そうそうあの種類の屍美女に会うことはないだろうというのが、佳代の下した結論だった。
しかしもう自分たちに危険がないとは言え、失ったものはあまりにも大きい。
特に彼氏の死を知ったマリナは、その場で再び気を失い、それからずっと自室にこもって泣き続けている。
駿とて勇一たちを救えなかったことは今でも悔やんでいるし、島の屍美女たちを放置してきたことにも思うところがある。
駿は小さくなっていく島を見つめながら、そこで過ごした思い出に浸り・・・。
自分の無力さ・弱さに悲しみの表情を浮かべるのだった。

「キューン・・・?」
「くぅっ・・・」

そんな時。いつの間にかやってきた狐娘と羊娘が、心配そうな様子で駿を見上げていた。
その様子に駿は苦笑しながら『大丈夫だよ』と言って頭をなでてやる。
すると・・・。

「「「ん〜〜〜ッ!ん〜〜〜ッ!」」」
「あっこら!暴れるなって!?」
「ちょっ!?お母さん、静かにしてっ!?駿兄にきづかれちゃうよっ!?」

扉の向こうで何やら騒いでいるものたちの姿が。
どうやら運転中の佳代以外の屍美女たちが、集まってきていたらしい。
狐娘と羊娘は抜け駆けに成功した第1号と2号と言ったところか。
駿は形はどうあれ、自分を心配してくれる家族たちに深い感謝と愛情を感じ、ふっと微笑むのであった。
(そうだ、諦めちゃいけない!最後まで可能性を信じるんだ!)
駿が奮い立つ。

そう、勇一と田中には生存の可能性があった。
彼らが彼女達を絶頂させ、胎内へ精を放つ事で屍美女を正気に戻せれば、或いは助かるかもしれないのだ。
勿論、その可能性はゼロに近い。彼らにとってはほとんど奇跡レベルである。だが、駿は信じていた。絶望的な状況に於いて、可能性を否定するような後ろ向きな考え方は身の破滅の要素になりかねない。
それに、屍美女の巣窟だったあの島で生き残った彼らの生への執着が、きっと奇跡を起こすと感じたのである。

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