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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 276


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「ああっ!?し、しまっ・・・!」

背中越しに聞こえる田中救出失敗の声。
しかし響香にはどうすることもできない。
ヘタをすれば、自分も川底に沈んでしまいそうだったから。
足が底につかない。
たったそれだけのことが、響香の精神力を著しく削っていく。
生前は怖くも何ともなかった水が、今は怖くて怖くて仕方がない。
できるなら今すぐ引き上げてくれと叫んでしまいそうだ。
だが。自分のエサ(人間)を他のヤツに掻っ攫われて黙っていられない自分がいるのも確か。
響香は今にも折れそうな自分の心を奮い立たせながら、ゆっくりと前へ前へと進んでいった。
そんな彼女の向かう先では、勇一が魚娘の餌食となりかけているマリナにようやくたどり着こうとしていた。

「うぷっ!?ごぼっ、あ、はぁンッ!?」

魚娘の愛撫を受け、マリナはすさまじい快感に今にもおぼれそうだ。
タコ娘と違い、魚娘はマリナにしがみついているだけだから、一度沈んだらそこでアウトである。
あっさりと沈んでしまった田中に比べると、信じられない耐久力である。
神薙一家のペット兼食糧として毎日弄ばれていたことが、思わぬ形で彼女の命を守っていた。

「やめろ、この化け物っ!マリナを離せッ!?」

そこに割り込んできたのはマリナの恋人の勇一。
彼は無事、マリナを救うことができるのだろうか?

――――

そいつは狂喜した。本能の命じるまま、獲物(マリーナ)を捕まえてみれば、何と別の獲物が自分からやってきてくれたのだ。
カモがネギを背負ってきたような幸運に、魚娘は喜びを禁じえなかった。

(待っていて。このコを食べたら、次はあなたを食べてあげるから)

魚娘はそう決めると、さっそく下ごしらえの済んだマリナを食べ始めた。

――――

魚娘が狂喜乱舞していた頃から、少し時間はさかのぼる。
潜水艦の運転室ではちょっとした騒ぎが起こっていた。

「佳代ママっ!離してっ!早くあの人たちを助けに行かなきゃ!」
「はぁンっ!?ダ・・・メッ!駿坊が行ってもっ、ぅンッ、事態は悪くなる、だけ!
 いいかげんわかっておくれ!」

田中が犠牲になったことを知った駿は、勇一とマリナもやられそうになっていると聞き、背面座位で自分を押さえつける佳代を振りほどこうとイスの上でもがいていた。

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