PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 270
 272
の最後へ

屍美女の大群 272


「勇一ぃっ!」
「・・・っ!ま、マリナ!?」

恋人の叫びに恋人は反応し。次の瞬間、弾かれたように飛び出した。
マリナもそれに合わせるように飛び出し、2人は甲板の上で熱い抱擁をかわす・・・はずだった。

バッ・・・シャアンッ!

「え・・・?」
「あ・・・!?」

それは一瞬の出来事だった。
不意に下のほうで大きな水音がしたかと思うと、黒い人影が甲板を横切り、マリナを消してしまったのだ。
何が起きたか理解できぬ一同は、再び聞こえてきた水音の発生場所を覗き込んだ。
そこで見たものは、おぼれそうになってもがくマリナと。
彼女を水底に引き摺り込もうとしがみつく、屍美女の姿であった。

「あぷっ!ふぶっ!?た、助け・・・ごぼっ!?」
「まっ、マリナーーーッ!?」

マリナの叫びでショック状態から立ち直る一同。
しかしショックから立ち直っても、とても信じられない光景だった。
屍美女はカナヅチである。何であろうと、水に落ちればそれまで。
上がるには溺死の苦しみを何度も味わいながら、水底を歩くしかない。
事実響香たちが倒し、水に落とした屍美女たちは誰一人岸に上がる気配を見せていない。
では今目の前にいる屍美女は何なのだろうか?
マリナをさらった時の身体能力を見る限り、あれが屍美女であることは間違いない。
ではなぜ彼女は水を恐れることなく泳げているのか?
だが今は先にマリナを救出しなくてはならない。
響香はすばやく思考を切り替えると、他の面々に指示を飛ばすべく立ち上がった。

「明日香っ!美羽ちゃんっ!急いで佳代ママと留美さんに連絡をっ!
 ママは鳥女にマリナさんを助けるように頼んでっ!
 静那さんっ!あなたは弓でマリナさんを傷つけないように、あの女を撃ってくださいっ!
 綾子さんは私とここに残ってこの人たちを守ってください!」
「「「「はいッ!」」」」

そして神薙一家はマリナを助けるべく、各々動いていく。
そんな中、屍美女のことを何も知らない勇一が、救いを求めて響香につかみかかった。

「おいっ!早く何とかしてくれっ!
 あのままじゃマリナが溺れ死んじまうっ!?」
「わかってるわよ、そんなこと!
 だけど何の考えもなく私たちが突っ込んで被害が広がったら、それこそシャレにならないわ!
 恋人を助けたいと思うなら、あなたも知恵の1つでも絞りなさいっ!」

いらだたしげにそう言い返すと、響香は勇一に目もくれずにじっとマリナにしがみつく屍美女を観察する。
あの屍美女の情報を少しでも集め、救出しやすくするためだ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す