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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 266

そこで、留美とマリナの二人に右舷と左舷の火器管制をさせようと言うのだ。
佳代は鼓膜保護のヘッドホンを二人に渡し、厳しい表情で言う。
「お主ら、死ぬも生きるも未来はお主自身で掴んで貰うぞ…あたし達は、家族と駿坊を守るので手一杯なのじゃ…」
口には出さないが、『働けないなら足手まとい』と、佳代の瞳は語っていた。
「解りました…私自身の未来の為に戦えばいいのですね」
「その通り、よい娘じゃ…」
理解して決意に満ちた表情になる留美を、佳代は一転優しい表情で見る。

マリナの方は無言で、ブリッジの窓から外を睨むように眺めていた。
眼下では、必死で戦う神薙家の女達の姿があった。
お互いがお互いをカバーしながら必死に戦っていた。
全てはブリッジ…そこに居る駿に近付けない為に…
佳代の精力でも解る通り、神薙家の屍美女達は精力をセーブしながら駿と行為に及んでいる。
彼女達は意識しなくても、駿の限界を把握していた。
それは、駿が彼女達にとって何にも替えがたい存在だからだ。
しかし、襲ってくる屍美女は違う。

駿が枯れ果て、命尽きるまで喰い尽くすだろう…
それだけは許す訳にはいかない。
それ故の奮闘である事は、マリナにも感じれるものであった。
「貴女が言う未来…私達にはあるの?…」
窓を見たままマリナが佳代に問う。
まだ彼女には、神薙家の女のように戦う意味が無い。
生き残ったとは言え、佳代達の奴隷であれば何の命か解らなかった。
留美のように駿に惚れた訳でもない。
肉体は彼で極上の快楽を味わったが、彼女の心はそれぐらいで彼氏からは離れていなかった。

妹がマリナから独立していこうとしている今、彼氏の生死が解らない…多分生きていない可能性が高い現状で、マリナが生きる意味を見出すのも難しい状況だった。
佳代はそんなマリナを静かに見ていた。
「あたし達の家族として遇する…それ以上の約束はできん…」
マリナの意図を察した佳代の言葉はそれだけだった。
マリナを動かす為に空手形を切らない…できる事だけを言う科学者らしい言葉だった。
「家族…かぁ…」
呟き、マリナは留美を見る。
彼女の唯一無二となった家族の心配そうな顔がそこにあった。

「もし、私の彼氏が生きていても…家族として扱ってくれるの?」
マリナの出した最後の譲歩だった。
「家族であれば、その彼氏ともあたし達は交合うがよいのか?」
多少苦笑気味に言う佳代を見て、マリナは心が落ち着いていくのを感じていた。
佳代は全く嘘をつかない…勿論、約束事に対してであるが…
少なくとも、彼氏を助ければ彼女達の『食事』になるが殺しはしないと言う事だ。
正直にそう答えたからこそ、マリナも覚悟を決めなければいけなかった。

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