PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 258
 260
の最後へ

屍美女の大群 260

下には駿がいるから最重要防衛拠点である。
ドック上の崖さえ過ぎれば、直接艦橋に到達される事は鳥屍美女以外はなくなる。
まずは静那に家族の命運が託された訳だ。
「我が全てに賭けて…ここは通しませぬ…」
弓でなく刀を構えた静那の表情に覚悟が見える。
実戦の場数は静那が一番あった。
しかも、平安の荒武者である父からは、日本一と言われる弓術だけでなく、刀術も鍛えられている。
静那が気合いを入れていく中で、少しずつ甲板が光に包まれ、いよいよ艦橋が外界に出ようとしていた。

潜水艦がドックから顔を出し、太陽の光が甲板上の響香たちに降り注ぐ。
響香たちはそのまぶしさに目を細めながら、崖で待ち構えているであろう屍美女たちの急襲に備える。
・・・が。ドッグの外で見たものは予想外の光景であった。

「これは・・・?」
「・・・あれ?ねぇお母さん、何か敵の数少なくない?」

崖の上にいたのは予想をはるかに下回る屍美女の集団であった。
彼女たちはいくつかのグループに分かれ、崖の上から興味深そうに、または警戒しつつこちらの様子を眺めていた。
爆発音こそ派手であったが、小屋に集まっていた連中はまだここには来ていないらしい。
おそらく上にいる連中は小屋の騒ぎに乗り遅れたか、この周辺でたむろしていた連中だろう。
敵のほとんどが本能の強い動物型であることも幸いしていた。
いきなり襲われるとばかり思っていた響香たちは、この意外な事態に脱力感を感じずにはいられなかった。
だが油断はできない。
上空には何人もの鳥型屍美女が旋回しているし、崖の上にいる連中もいつこちらに乗り込んでくるかわからない。
そんなときは先手必勝!と言いたいところだが、そう簡単にもいかない。
後から敵の団体さんがやってくるとわかっていて、よけいな体力も使いたくないからだ。
何とも言えない緊張感の中、潜水艦はゆっくりと前へ前へと進んでいく。

(―――やり過ごせるか?)

響香たちがそう思いかけたその時だった。

「キーーーーッ!」
「ピイイィッ!」

緊張感に耐え切れなくなったサル型やら鳥型やらの何人かがこちらに向かって下りてきたのだ!
真っ先に相対する静那は、この中で事のほか冷静であった。
それは彼女の豊富な実戦経験の賜物で、むしろこんな場合は先に動きたいのを我慢した方が勝ちなのを熟知していた。
降ってくるサル型に対して静那は構える。

ズシャ!…ズシャ!…

冷静に降ってくる敵を斬り捨てる。
いくら屍美女であれ、翼の無いサル型は空中で姿勢は変えられない。
待ち構えた静那に、為す術なく斬られて甲板に落ちていく。
落ちていく獣屍美女は多少は回復していくが、回復しきる前に下では綾子と美羽に掴まる事になる。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す