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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 257

かつて、最愛の弟との間に子を宿し、その子をもって神薙家の礎を築いた静那…
これはその彼が、生き写しである子孫に手渡すプレゼントなのかもしれない。
だがそれも、この戦いで駿を守りきっての話…
今、戦闘経験が豊富な自分が抜ける危険性を静那は理解していた。
「大丈夫です、智恵美殿…死なぬ身体故に、大丈夫です…」
「静那ちゃん…」
辛そうだが笑みを見せる静那に、智恵美はかける言葉がなかった。

しかし実際に佳代のところへ連れて行ったところで、彼女に何かできたかどうかは疑わしいところだ。
それは運転室で駿と甘い時間に浸っているからという意味ではなく。
いくら群れを統率する彼女でも、屍美女の妊娠・出産の対処法なんて知っているとは考えにくいからだ。
普通の人間相手だったら、佳代だけでなく出産経験のある響香・智恵美・綾子でもある程度のことはできる。
だが屍美女となれば話は別だ。
今は静那のおなかに変化はないが、これから急激に成長するのか、それとも何年もの長い時間を必要とするのかさえわからない。
そもそもおなかの子供は人間として生まれてくるのか?それとも屍美女として生まれてくるのか?
そんなことさえもわからない。
ブラックボックスと化した子供を宿し、不安を感じないはずがないのに、それでも気丈に笑顔を見せる静那。
そんな彼女に智恵美は自分の無力さを嘆かずにはいられなかった。

「・・・わかったわ。そう言うなら静那ちゃんを信じる。
 でも絶対に無理はしないでね?
 私もこれからできるだけ静那ちゃんのそばについててあげるからっ」
「・・・ありがとうございます、智恵美殿」

智恵美の言葉に静那は心から感謝しながらそう言うと、緊張の糸が切れたのだろう。
その場に座り込んでまた吐き気をもよおした。
智恵美は優しく静那の背中をさすりながら、その身を案じる。

「うぷっ!?う、うえぇ・・・っ!!」
「大丈夫?これからは私がついててあげるから、無理しないで何でも言ってね?」

智恵美は戦闘以外何もできない。しようとすれば何かしらみんなに迷惑をかける。
しかしそれでもみんなの役に立とうとするその献身的な精神は本物だ。
その優しさは静那のように、秘密を持つものや心が弱くなったものにとって、何よりも心強いものとなることがあ。
静那は智恵美の存在にありがたみを感じつつ、子供のいるであろう下腹部をそっとなでるのであった。

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