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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 256

では今度は甲板にいる面々を見てみよう。

――――

「うえ〜ん。みんなどこ〜?」

置いてけぼりを食らって独りぼっちになってしまった智恵美は、仲間を求めて甲板に姿を現した。
その姿は美しいを通り越して妖しさすら感じさせるほど充実しているのに、その表情はまるで母親を探す迷子の子供だ。
もっとも家族は彼女がホントに迷子になっても、そのうち自力で帰ってこれると知っているので、誰一人心配していない。
最近家族になった静那を除いて・・・。

「・・・う。ううぅ・・・っ。うえぇ・・・っ」
「・・・!静那ちゃんっ?どこにいるのっ!?」

そんな時。どこからか、静那の声が聞こえてきた。
天の助けとばかりに顔をほころばせて智恵美は呼びかけてみる。
・・・が。なぜか返事は返ってこない。
うめき声のような、静那の声が聞こえてくるだけだ。

「・・・?えと・・・静那、ちゃん?」
「うぷっ?う、うえぇ・・・」

一向に返事が返ってこないことを不思議に思った智恵美は、声を頼りに静那を探してみる。
普段だったら響香か綾子あたりに止められそうなところだが、止める相手は誰もいないし、声を頼りにしているのでこれ以上迷子になることもない。
少々苦労しつつも、智恵美は後部主砲の上で苦しそうにうめいている静那を発見した。
砲塔の上で四つん這いで口から嘔吐する静那を発見し、智恵美は慌てて駆け寄る。
静那は美しい眉を歪め、苦しそうな表情をしているが、智恵美にはそれが何であるか理解できた。
鈍い智恵美すら理解できるそれ…
それはまがりなりにも智恵美が母だからである。
「静那ちゃん!、大丈夫っ!!」
そう言って背中をさするが、肉体的には大丈夫なのは理解していた。
「まさか…まさか…」
静那は呆然と自分のお腹をさする。
それは、かつて生きていた頃に宿しながらも生を得なかったものである。

静那が再び生を得た事で、この胎内の生も再び産まれ出でる準備を始めたのだろう。
かつて死ぬ前には自覚がなかっただけに、静那の驚きは尋常ではなかった。
「しっ、静那ちゃんっ!…と、とっ、とりあえずっ、お母様の所にっ!!」
若干慌てる智恵美を手で制して、静那はヨロヨロと立ち上がる。
「智恵美殿、妾は大丈夫です…それより、駿殿を守る為に配置につかねば…」
余りの気分の悪さに艦橋上部から降りてきた静那は、そう智恵美に気丈に言う。

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