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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 250

駿を膝の上に乗せたまま、佳代がキーボードを叩いていくと、目の前のモニターに艦の全景が映り、その各部所や数字がレッドからグリーンに変化する。
「うむ、艦内各所異常無し…注水レベルもOKじゃな…」
佳代はそう言いながらレシーバーを取りスイッチを入れる。
「皆の衆!、準備が整ったぞ!…今から発進するから、振り落とされないようにするんじゃぞ!」
そんな荒っぽい発進かよ…そう言いたいぐらい、佳代の事だから荒っぽいのだろう。
心配した駿が目でマリナと留美を探す。

このブリッジに放り込まれたままの筈の二人だが、まだ気絶したまま椅子に置かれ、シートベルトをされているのを見て駿は少し安心する。
多分、そんな状況を予測したのであろう綾子辺りがそうしたのかもしれない。
それを証明するように、甲板では綾子が音頭を取って全員に指示をしていた。
「みんな、物陰に身を隠すんだよっ!…それと、この娘らも隠してやりな!」
彼女も狐娘を抱えながら指示を出す。
「一体、どうして?…船が進むだけでしょ?」
響香すら不思議に思って聞くのも無理は無い。

詳しい説明は誰も聞いていないからだ。
だが、綾子は長年の勘で佳代がどう行動するか熟知している。
「単純な話さ…響香、このドックの出入口は確認したか?」
「いえ…えっ?!…まさか…」
ようやく響香もその事に気付いた。
「そのまさかさ…この船が出れるような穴なんて、島の外側からは見えなかったろ?…恐らく無いんだろ、出口が…」
それならどうやって…
段々と響香の中に悪い予感が湧いてくる。
「じゃあ…どうやって外に…」
「多分、コイツだろうな…」

恐る恐る聞いた響香に、綾子が指差したのは巨大な砲塔…
それで漸く響香は気付いた。
「無茶だわっ!、そんな無茶苦茶だわっ!!」
主砲の火力でもって壁に穴を開け、無理矢理外に出る。
豪快を通り越して、あまりにも無茶苦茶だ。
驚くしかない響香に、綾子は苦笑して言う。
「それがお母様なんだから、覚えとくといい…それにアタイ達は死なないしな…」
能天気な天然の智恵美なら気づかぬかもしれないが…それなりに賢く勘の鋭い綾子だから、その無茶にも気付いた訳である。

その綾子の言葉通り、鈍い音を立てて砲塔が少し動いたのを見て、綾子と響香は慌ててみんなと共に物陰に入ったのだ。

一方ブリッジでは…
佳代がキーボードを叩きながらその砲塔を動かしていた。
3連装20.3cm砲…
かつての海軍巡洋艦クラスの主砲が、この艦の主力兵器だ。
前近代的とは言え、火力は十二分に高い。
「第一砲塔、第二砲塔準備完了…っと」
イマイチ佳代のしている事を理解していなかった駿も驚く。
「佳代ママッ!、何する気っ!!」

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