PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 246
 248
の最後へ

屍美女の大群 248

そして一歩ずつ、しかしだんだんその速度を上げてマリナがいるであろう場所へ駆け出していった。
田中はその様子にホッとしながら彼の後をついていく。
これで自分はこの島から脱出できる。そう信じながら。

――――


その頃、地下ドックでは…
順調に注水が終わり、後は出航まで数分と言う所である。
戦闘艦橋の司令席で佳代の膝の上にいる駿は、改めてこの船に乗って驚いていた。
駿も一応男の子だから、プラモデルなんかで軍艦なんかは知っている。
この船は、そんな軍艦とは全く違う形なのだ。
潜水艦と言うが、甲板の上の装備は潜水艦らしくない。
立派な三連装の砲塔が4基、二連装の副砲が2基、艦橋周囲の左右の甲板にはおびただしい数の対空機銃がついている。

少なくともその姿は、駿の知っている潜水艦じゃない。
むしろ洋上艦船…戦艦や巡洋艦の形に似ている。
「不思議な船だよね、佳代ママ…」
かつては古い計器が並んでいた艦橋も、佳代が持ち込んだコンピュータなんかで新しくされたのを見渡しながら駿は驚きの声を発する。
基本、男の子はこう言う物が好きだ。
「これはの…伊六百型潜水戦艦と言っての、旧海軍が実験艦として作ったものじゃ…全長160mと潜水艦と言うより、巡洋艦サイズもある大型艦じゃ」

説明する佳代も器械が大好きだけに楽しそうだ。
「でも、潜る時は困るよね…」
ガラス張りの艦橋から外を見ながら駿が言うと、よくぞ聞いてくれたとばかりに佳代が嬉しそうに言う。
「そうじゃ、この艦橋や武装は潜る時に困る…じゃが、その為にこの艦には翼がついておる」
佳代の言う通り、この艦の最も変わった点は、甲板左右にほぼ半円型の翼のような物が付いている事だ。
こんな構造の船なんて、駿は見たことが無かった。
「翼?…」
この艦の最も不思議な装置に駿は首を傾げる。

その可愛い仕草に佳代は微笑みながら駿に言う。
「あの翼は安定翼と言っての、普段は駆逐艦サイズの艦に巡洋艦以上の主砲を積んだこの艦が撃った時に、艦を安定させる役割を担っておる…じゃが、これの真骨頂は、潜る時じゃ」
誰も聞いてくれなかったから説明したくてウズウズしてたのだろう…
佳代の口は滑らかだった。
「潜る時は左右の翼が閉じて、甲板を覆うのじゃ!」
どうだと言わんばかりの佳代に、駿は予想通り驚く。
それは男の子が心ときめかす、空想科学図鑑の世界だ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す