PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 245
 247
の最後へ

屍美女の大群 247

自分1人であの化け物の魔手をかいくぐって船まで行けるとは思えない。
ならば今までと同じように、生き残る確率を高めるべくこの男を利用するしかない。
だが・・・今のコイツを使うことができるのだろうか?
そんな不安が彼の脳裏をよぎる。
今の彼は、マリナを奪われたショックで生きた屍となりつつある。
何とか再起動させないと、脱出の機会そのものを失ってしまう。
できるできないの問題ではない。しなければならないのだ。
田中は覚悟を決めると、悲しみにくれる男の胸倉をつかんだ。

「おいっ!いつまでめそめそ泣いてやがるんだ、このバカ野郎ッ!?
 このまま自分の女取られたまま、化け物どもに殺されるつもりかよッ!?」
「だ、だって・・・オレには・・・もう、アイツしか・・・」

予想以上の気落ちっぷりに田中は内心で舌打ちをした。
確かに彼はここまで家族やら友人やら、いろんなヤツを見殺しにしてきた。
もっとも見殺しと言っても屍美女に捕まり、確実に死ぬような連中だけの話で、助けられる相手はできる限り助けようとしていたが。
しかしそれでも彼の罪悪感は晴れなかったのだろう。
そんな彼を支えていたのがマリナだったのだ。
それを失った今、この男は自分よりはるかに弱い存在だった。
だが今はそれどころではない。何としてもコイツには復活してもらわねば。

「バカ野郎ッ!!」

バキィッ!!

そう思った田中は気合注入とばかりに、哀れな男の顔をブン殴った。

「マリナを寝取られたからって何だッ!
 おまえの愛は・・・マリナとの関係はそんな簡単に壊れるようなモンだったのか!?」
「!!」

近年ドラマでも言わないようなクサいセリフ。
だがここまで命がけの逃亡生活を続け、その支えを失った彼に対しては効果絶大だった。

「アイツが・・・そんな簡単に他の男に股を開くような、そんな尻軽女とでも思ってんのか!?
 何か理由があるに決まってんだろうがッ!?
 そんなこともわからねえのかッ!?」
「・・・・・・」

田中の言葉に、少しずつ彼氏の身体に力が満ちてくる。
それは彼が望んでいた希望の光だったから。

「取られたんなら取り返せ!アイツは・・・真堂マリナはおまえの女だろうがッ!?
 行けッ!マリナはおそらくあの近くだっ!!」

そう言って田中は2回目の爆発があった付近を指差した。
それに対し、男は亡霊のようにゆらりと立ち上がると、じっと指差された方向を見る。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す