PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 244
 246
の最後へ

屍美女の大群 246


――――

「なぁっ、何だぁッ!?」

同時刻。駿たちが島を脱出するためにたてた数々の轟音は、何とか事なきを得た『ある人物たち』の耳にも届いていた。
マリナの彼氏と、その相方田中である。
もっとも音に反応したのは田中だけで、寝取られた、フラれたと思い込んでいる彼氏のほうはそれどころではないようだが。
今のマリナの彼氏は完全に抜け殻となっていた。
事のしだいを見たときは、現実を認めたくなくてその場から走り去ったものの、今は網膜に焼きついたあの光景に押しつぶされて生ける屍と化してしまったのである。
そんな相棒を無視して、田中は冷静に今までに起こった轟音の数々が何だったのか考え始めた。

(今の音・・・前の音と違って結構近くだったな・・・。
 ・・・あの小屋にいた連中が、逃げる最中にダイナマイトか何か使ったのか?)

実にいい線を行く推測を立てながら、田中は考える。

(いや、待てよ。いくら逃げるためとは言え、爆発物なんて目立つものを2回も使うか?
 1回目はともかく、2回も使えば確実にあの化け物たちに見つかっちまうぞ?
 ・・・ってことは・・・)

2回の爆発音。それぞれ異なる使用位置。
たとえ屍美女に見つかってでも、爆発物を使わなければならない理由。
それらを総合したとき、田中の脳裏にある天啓がひらめいた。

「―――まさかっ!?あの連中、この島を出る手段を持っているのかっ!?」

そんなバカな、それならなぜ今まで脱出しなかった?
そんな考えが頭をよぎる。
しかし、もし何らかの理由ですぐに脱出することができなかったら?
例えば自分たちが乗ってきたボートを見つけて、修理していたとか―――。

(・・・ありうる!)

爆発物を持っているような連中だ、修理する技術や材料があったって不思議じゃない!
新天地を求めてこの牢獄のような島に来てしまったが、これでここから逃げられる。
導き出された答えに、田中は地獄でクモの糸を見つけたような気分になった。
・・・となればグズグズしてはいられない。
早く爆発のあったあたりに行って、船を強奪、もしくは乗せてもらわなくてはならない。
だがあのでかい爆発音をあの化け物(屍美女)どもが聞いていないはずがない。
間違いなく連中はあの付近に集まることだろう。
それに一刻を争う中、移動中に化け物に見つかってはたまらない。
何とか安全に、かつ早く移動しなくては。
そう考えた田中が目に付けたのは。
いまだ恋人を奪われたショックから立ち直れない、哀れな彼氏の姿であった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す