屍美女の大群 244
駿が屍美女たちの熱烈な介抱を受けている間に、佳代はイカされすぎて気絶した真堂姉妹を潜水艦へ通じる通路の入り口に運ぶ。
「お〜い、それじゃそろそろ出発するぞ〜」
「え?な、何もしないで行くの?」
外での殺伐した雰囲気はどこへやら。
まるで遠足か家族そろって外食しに行くような軽い口調で、佳代は脱出を呼びかけた。
佳代の言葉に響香とする面々が、不安そうな声を上げる。
外にいる屍美女たちのことを懸念しているのだ。
佳代だってその危険性はわかっているはずなのに、けろりとした様子で肯定する。
「ああ。せっかくここまできてもらったんじゃ。
連中には『おみやげ』の1つでも渡してやろうと思ってなぁ。
ま、ここはあたしに任せて、早く潜水艦まで行こうじゃないか。
じゃないと危ないからねぇ・・・♪」
そう言って笑う佳代の姿に響香たちは確信する。
この人物がすでに罠か何か仕掛けていること。
そしてこの人物には絶対に逆らってはいけないということを・・・。
ガッシャアンッ!バキベキバキィッ!
それから約10分後。共食いを逃れた屍美女たちがついに小屋への侵入を果たした。
漂う男(駿)のにおいと、性交のにおいに彼女たちは大いに興奮した。
性欲に狂い、理性のない彼女たちは、だからこそ気づかなかった。
目の前に広がる異常な光景に。誰もいなくなった小屋。
そこには潜水艦へと通じる通路の入り口が、ぽっかりと口をあけている。
連中が追ってくるかもしれないというのに、あまりにも不用心だ。
もし彼女たちに生前の記憶があれば罠だということを察知できたかもしれない。
だがどの道ここに来た時点で手遅れだったろう。
カチリッ、
何かがはまったような、甲高い音がした次の瞬間。
小屋のみならずその周囲までもが閃光に包まれ、吹き飛んでしまったのだから。
ゴ・・・ゴゴゴォン・・・ッ!
小屋の消滅の振動は、屍美女の身体能力で遠く離れていた駿たちの元にまで届いていた。
「ちょちょっ!おばあちゃんっ!?いったいどのくらいの火薬をあそこに仕込んでいたのよっ!?」
響香が動揺のあまり『ママ』と呼ぶことすら忘れてそう叫ぶ。
「さて・・・どのくらいだったかねぇ?
ありったけのダイナマイトを仕掛けていたからね・・・忘れちまったよ」
「あ、あんな爆発するほどの爆薬の上で、アタイらは暮らしていたのか・・・!」
「か、佳代ママ・・・こわいっ!」