屍美女の大群 233
「ほほう・・・あたしがいない間にそんなことがねぇ・・・?
駿坊たちもずいぶん大胆なことするじゃないか」
「う・・・ご、ごめんなさい」
佳代の反応に駿は小さくなって返事をする。
佳代は家族としても屍美女としても頂点に立つ人物だ。
その了解も得ず、こんな勝手なことをすればどうなるか・・・。
それは綾子たちの『お仕置き』を知っている駿にとって恐怖でしかなかった。
(うう、仕方がなかったとは言え、とんでもないことsちゃったかも・・・)
背中に嫌な汗が流れていくのを感じながら、駿は判決を待つ死刑囚の気持ちで佳代の言葉を待った。
そして佳代が不敵な笑みを浮かべて動いた。
その動きに留美と獣娘たちも反応するが、駿は目でそれを制した。
「しゅ、駿さん・・・!?」
「う、ううぅ・・・っ!?」
(ダメっ!耐えて!?)
獣娘たちが『何でダメなの!?』と言わんばかりに戸惑う。
しかしここで彼女たちを止めなければ間違いなく留美たちが食われてしまう。
そして佳代がついに駿のすぐそばまでやってきた!
(く、食われるっ!?)
腹上死を覚悟したその時、駿の首に佳代の両手が回され、やわらかな女体の感触が全身に広がった。
「えらいっ!!」
だが次に来たのは意外にも駿を褒め称える賞賛の声だった。
「・・・ッ?!」
思いもよらない言葉に、駿は何と答えていいのかわからない。
獣娘たちも思わぬ展開におろおろしっぱなしだ。
そんな駿の心中など知らない佳代は、孫であり大事なオスである駿を抱きしめ、背中をたたきながら褒め称える。
「よくこんな状況でそれだけの判断ができた!
みんなのことを子供だ子供だとばかり思っていたけど・・・いや、立派に成長したもんだ!
あたしはうれしいよっ!」
「か、佳代ママ・・・お、怒ってないの?」
何とか正常な思考力を取り戻した駿が、恐る恐る佳代に訊ねる。
すると佳代は一瞬きょとんとすると、すぐ大爆笑し始めた。
何がそんなに意外でおもしろかったのか。
駿たちはあまりの展開にまったくついていくことができない。
そんな中、ひとしきり大笑いした佳代はふっと真面目な顔になると、駿の両肩をつかんでこう言った。
「いいかい、駿坊?覚えておきな。
こういうときはね、生きる努力をしないヤツが真っ先に死んでいくんだよ。
わからないならわからないなりに、生き延びるための悪あがきってのをしなくちゃならないんだ」