屍美女の大群 230
そこには怒りも含まれているのだが、どうみてものろけているようにしか見えない。
静那は照れ隠しのつもりなのか、駿から視線をそらせながら言葉を続けた。
「わ、わらわのことよりもあなたを助けた、そこの獣娘たちをねぎらってやりなさいっ。
ほら、あなたが放っている間に、大変なことになっていますよっ?」
「え・・・?わぁッ!?」
言われて振り返った駿は驚いた。
5人の獣娘たちが、真堂姉妹をなぶりものにしていたからだ。
ごほうびがもらえないことにむくれた彼女たちは、2人をターゲットにしたらしい。
「ン、ふあぁッ!?そ、そこはぁッ!?」
「だ、ダメぇッ!?ね、姉さんに手を出さないでぇッ!?」
5人の容赦のない愛撫が姉妹を高ぶらせる。
性に貪欲な屍美女でも、特に本能に忠実な獣娘。
放っておいたらいつ2人を同類にさせられるかわかったものではない。
「こ、こらッ!!その人たちはごはんじゃないっ!やめるんだっ!」
駿はあわてて姉妹を襲う獣娘たちを引っぺがしにかかるのだった。
幸い、彼女たちは駿にほめてもらえないことへの報復のつもりで姉妹に手を出していたこともあり。
おわびのキスと軽いスキンシップですぐに2人を解放してくれた。
一方、マリナは腰を抜かすほどイカされてしまったものの、妹の留美は2〜3回イッただけで2人とも何とか命を取り留めることができた。
「まったく・・・!いくらおなかがすいているからって、2人を殺すくらい食べちゃダメでしょ!?」
駿の怒声にしゅんと縮こまる獣娘たち。
家族である屍美女たちも大事だが、貴重な同類である真堂姉妹も大切な存在なのだ。
駿に怒られてしょげ返る獣娘×5。
まだ若い子供に妙齢の、それも獣耳やシッポをつけた女性が説教される光景はなかなかシュールだ。
5人がおとなしくなったことを確認した駿は、すぐに真堂姉妹を介抱する。
「留美さんっ、マリナさんっ。大丈夫!?」
「あ、はぁ・・・っ。も、ダメぇ・・・♪」
「だ、大丈夫です。ちょ、ちょっと腰が抜けちゃいましたけど。
姉さんもたぶん・・・」
駿に解放されながら、自分たちが何とか人間のままであることを伝える留美。
妹はこんなにしっかりしているというのに、再び恍惚の世界に旅立ってしまった姉、マリナ。
無事なのはよかったが、姉としてあれでいいのだろうか?
フォローの仕様もないダメっぷりに苦笑を禁じえない駿に、再生し終えた静那が声をかける。
「駿、わらわはもう戦場に戻ります。
あなたは何が起こっても対処できるようにそこの人間たちの治療と、同族5人にエサをやっておきなさい」
「ね、姉さまっ!?ダメだよ、まだ休んでいないと!」