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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 209

その行動に、智恵美は涙で眼を潤ませながら歓喜の表情を浮かべた。

「綾子ちゃん・・・っ!」
「これっきりだからな、姉ちゃんっ!今度こんなことしたら、気絶させてでも連れ帰るからな!」
「うんっ!ありがとう、綾子ちゃんっ!」

感謝を伝える智恵美とともに、ため息つく綾子は急いでその場を後にする。
振り向きざま綾子が見たものは、炎と静那の矢で肉体の再生ができず、その場で崩れ落ちる花娘の姿であった。
肉体を破壊する速度が再生速度を上回った結果だ。
火が治まるまで、しばらくはあそこでおとなしくしていることだろう。
半ば呆れ、半ば関心しながら綾子が獣娘達を回収する。
その獣娘の耳やら角やらを見ると…牛、豚、山羊、羊と見事に家畜系だった。
多分家畜のように大人しかったから花娘に狩られたのかもしれない。
「害はなさそうな連中だけど…駿君に何かあったら姉ちゃんでも許さないからな…」
ボソッとそう言いながら綾子は獣娘達を屋上に放り投げる。
多分、屋上にいる家族達も綾子同じ事を考えながらキャッチしてるに違いない。
ただ、一番の問題は佳代だ。
あの佳代が獣娘を保護するとは綾子には思えない 。

今までだってそうだったし、特に今は駿に危害が及ぶ事を極端に嫌っている。
駿のペット化も、駿を支配しようとか言うよりも、管理を徹底して守りやすくするのが本音だろう。
しかもただ駿を守るだけでなく、駿を家族のペットと位置付ける事によって、家族の秩序や共通の利益を守ろうとしている。
どちらかと言うと母に反感を持っている綾子でさえ、そんな佳代の家長としての判断には一目おいていた。

だが智恵美はある種、理性の通じない相手である。

普段は母親に従順そのもので絶対に逆らいはしない。
結婚の時も、佳代の決めた見合い相手が初対面でも拒否しなかったぐらいだ。
しかし感情と無尽蔵の優しさで暴走する事もしばしば…
そうなったら佳代すら手を焼く程にガンとして譲らないし、あの佳代と互角に喧嘩してのけたりする。
綾子は智恵美を怒らせた事はないが、綾子も佳代も智恵美が一番怒らせたら厄介なのは共通認識として持っていた。
だから、この場面で佳代と智恵美に喧嘩でもされたりすれば…かなりヤバい状況になってしまう。

しかし不幸中の幸いと言うべきか、現在佳代は小屋の隠し通路から潜水艦の修理に向かっており、2人がぶつかることはない。
問題が先延ばしになったわけだが、その分不安も大きく、さすがの綾子も身震いせずにはいられなかった。

カッ!カッ、カカッ!

綾子が一抹の不安を感じる中、響香たちはすばやく次の手を打っていた。
静那に智恵美の倒した木を火矢で射らせ、炎のバリケードを作り始めたのだ。
静那の正確無比な矢で射られた倒木は次々と燃え上がり、あっという間に炎の壁を作り出す。

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