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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 208

火を消そうとしているのであろう、彼女は腕だけでなくすべての触手で炎をぬぐうような動きを見せている。
そしてその足元には数人の屍美女の姿が倒れている。
そう、彼女の食料として連れてこられた、哀れな生贄たちだ。
火矢を食らったダメージと驚きで、たまらず彼女らを手放したらしい。

「た、大変っ!はは、早くしないとあのコたちまで飛び火しちゃうっ!?」
「ちょっ!?待てって姉ちゃんッ!今行ったら危ねえって!?」

智恵美は動かなくなった彼女たちを見るなり、彼女らを助け出そうと駆け出した。
まさか敵のところに駆け出すとは思っていなかった綾子は、不意をつかれて智恵美を止めることができない。
それは小屋の屋上にいた響香たちも予想外の展開にびっくりする。
そして智恵美が花娘の巻き添えを食わないように、すぐさま静那は花娘に矢を放った!

ドスッ!ドスドスッ!

不安定な体勢で矢を受けた花娘は、その衝撃であっさりと後ろに下がる。
その間に智恵美は熱さもかまわず、生贄の屍少女たちを助け出す。
底抜けのお人よしである智恵美だからこそできる優しい行為。
しかし綾子は自分たちの生活を脅かしていたモノを助けられるほど、人間できてはいなかった。

「何やってんだよ、姉ちゃんっ!?そんなヤツら放っとけって!
 どうせすぐ復活するんだからよ!」
「ダメっ!このコたちを放っておいたら、みんなあのコ(花娘)に食べられちゃうっ!
 今すぐに助けないとっ!」

天然で普段はまるで役に立たない女、智恵美。
しかしそんな彼女はそんな才能のなさを補ってあまりある慈悲に満ちた性格をしていた。
それゆえ、一度守る、助けると決めたらてこでも動かない頑固さを併せ持っていた。
実際、生前智恵美が子供だった頃、捨て犬や捨て猫を拾ってきては佳代に怒られていたことを綾子は覚えている。
結局それらは飼われることはなかったが、智恵美はそれでもあきらめず、別の場所で野良たちが独り立ちするまで育てていた。
自分の食事と少ないお小遣いを削り、野良たちのエサ代に当てて。
そんな彼女の性格を痛いほど理解している綾子は、説得をあきらめ、智恵美と一緒に倒れている屍美女たちを拾い上げた。

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