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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 207

人間なら恐怖におののき、冷や汗て身体中がいっぱいになるような光景だった。
因みに屍美女には汗腺が肌には無く(彼女達のキメの細かい肌はそれも一因である)、分泌物はほぼ目鼻や口腔、それに性器や泌尿器に限定されている為に、口の中がカラカラに乾いて、淫汁の滴る量が増えたのだが…

しかし、これは予想外に不味い相手だった。
屍美女とて疲労はするから、動けなくなれば喰われると言う事になる。
しかも相手は、普通では考えられない相手である…相手の方が先に疲労する保証は無い。

八方塞がりな相手に智恵美すら攻め手を欠いたその時…
「姉ちゃんっ!!」
頭上からの綾子の声に、智恵美は考えるより早く行動する。
狐娘を無理矢理小脇に抱えると、薙刀の石突きを地面に打ち付けて飛び上がる。
そのまま棒高跳びのような要領で屋上まで飛び上がると、上手く薙刀を掴んだまま屋上に着地する。
智恵美が着地した瞬間、その脇を火球が花娘めがけて飛んでいく。
それは、屋上の一段高い所…階段のある小屋の上から放った静那の火矢だった。

ロケットのような勢いで飛んでいった火矢は、花娘に当たると一気に全身を燃え上がらす。
油か何かを仕込んでいるらしい。
植物形態だけに、よく燃えるようで…再生能力にもよるが、しばらくは動けないだろう。
のたうち回る花娘を注意深く見ながら次の矢を構える静那…一方、屋上に上がった智恵美は家族の顔を見ながら安堵する。
佳代はいないが、それ以外の家族と階段の小屋の中には駿と留美もいた。
「姉ちゃん、大丈夫か?…それより、何だそれ?」
「ん?…ワンちゃん!」

小脇に抱えた尻とふさふさ尻尾(綾子からはそれしか見えない)に綾子は少し呆れた声で聞くが…相変わらずと言うか、姉の口からは答えになっていない答えが返ってくる。
綾子はそれを脳内で構成しながら、智恵美の小脇にある物をヒョイと掴んでみる。
それは…あの時の獣娘であるような気がした。
流石に綾子が怖いのか、狐娘は借りてきた猫のように綾子に掴まれたままになっていた。
「…これ、犬じゃないだろ?」
現状、害がなさそうな狐娘を見ながらため息混じりに綾子は言う。


「え?だってこんな耳してるし・・・」
「犬はそんなふさふさなシッポなんて持ってねーよ」
「そ、そう?」

自分の大ボケに気づいた智恵美は自分の恥をごまかそうと、目を泳がせながら話題を変えた。

「そ、それより綾子ちゃん。あのコ、大丈夫かな?
 私とこのコを助けるためとは言え、焼いちゃうなんて・・・って!」

智恵美が大事なことを思い出し、炎に包まれているはずの花娘に振り返った。
そこでは燃え盛る顔を押さえ、ぶんぶん振りながら悶え苦しむ花娘。

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