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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 206

だが智恵美にダメージがない代わりに花娘にも大したダメージはない。
いいとこ触手の何本かを切断されたくらいだ。
実はこれ、武器が思い切り振れない状況だったからとか、そういうことではない。
智恵美の優しさがあだとなって攻撃できないでいるのだ。
それは自分の背後で震える狐娘と、おもちゃにされている屍美女たちのせい。
優しい性格の智恵美は、彼女らのことを気遣って思うような攻撃が繰り出せずにいたのだ・・・!

「きゅ、キュウン・・・っ」
「大丈夫よ、ワンちゃん。怖いことなんて何もないから」

振り向くことなく狐娘を励ます智恵美。
この期に及んで彼女を犬と思ってるあたり、彼女らしいというか何と言うか・・・。
しかし狐娘を守り続けようとするその姿勢は、今まで裏切り続けていた狐娘の信頼を得つつあった。
対する花娘はというと。幼い容姿に似合わぬ憤怒と焦燥の形相で、智恵美をにらみつけていた。
当然だ。自分は一刻も早く目の前の2人を食らってこの飢えを何とかしたいのに、それを邪魔されっぱなしなのだから。
鎖につながれていることをいいことに、これ見よがしにエサを食べるのを見せ付けられた犬の気分だ。
それもしつけのなってないタイプの。

「ウ・・・ウゥッ!フウゥゥ・・・ッ!」

飢餓感と怒りとで、もはや言葉すら忘れてうなる花娘。
その感情は知らず人質となった屍美女たちに向けられ、彼女たちはもはや喘ぐことすらできず、荒く呼吸するだけの肉の塊と成り果てていた。
兎も角、少し智恵美に有利な感じで推移していた事態だが…この後、智恵美には予想だにしない事が起こるのである。

苛立つ花娘は、苛立っているのが不思議なぐらい静かに動きを止める。
それは誰の目にもおかしいぐらいの不自然な停止だった。
智恵美が構えながら後ろに少し下がったのも、この明らかなる不自然さに警戒した為であった。
だが…花娘は智恵美が想像していたより途方もない行動に出た。
停止して触手だけ動かす花娘…だが、それは智恵美に向かってではない。

掴まえた屍美女を自らの頭の上に持って来ると、その頭に咲き誇る巨大な花冠の中に落としたのだ。

グシャッ!…グッチャッ!グッチャッ!!…

咀嚼…それは誰にでも解るような咀嚼音だった。
喰っている…屍美女が屍美女を…
どう言う構造かは理解できないが、花娘は食虫植物のように、屍美女を喰らっているのである。
普段、無神経…と言うか、動じる事の無い智恵美でさえ、背中に悪寒を感じるぐらい衝撃的な光景だった。
「…嘘…でしょ…」
信じられない事態を前に薙刀が少し揺れる。

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