PiPi's World 投稿小説

屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 183
 185
の最後へ

屍美女の大群 185

それは彼女が人間である、精一杯の抵抗であった。
佳代は黙ってマリナを見つめる。
確かに彼女は自分たちにとってうるさい存在かもしれない。
しかし化け物である自分たちにここまで言える人間もめずらしい。
よく見れば身体を震わせ、殺される恐怖にこんなにも怯えているというのに。
仲間にしてもいいが、それでは駿の心が離れる。
何より自分以外にも、家族たちの暴走を止めるストッパーがほしかったところだし・・・。
佳代はわずかな逡巡の後、マリナへの処分を告げた。
少なくともマリナの失礼な(勿論、屍美女にとってだが)啖呵に、他の家族達は色めき立って佳代の号令さえあれば飛びかからんばかりの勢いなのである。
だからこそ佳代に厳正な処分を求めていたし、そうならなければいくら佳代の怖い彼女達とは言え黙ってられないだろう。
だが、当の佳代は彼女達の激昂が嘘のように穏やかで、マリナに対しての視線は優しげであるのだ。
それは…何かを悟り、彼女を哀れんでいるようでもあった。
「もし、同じ事を…これでも言えるなら…我らは嬢ちゃんを主として言う事を聞こう」

佳代の口から出た言葉に全員が驚く。
それは、下手をすれば家族の生殺与奪をこの人間の小娘に委ねる事になりかねない。
特に死ねない彼女達にとっては、それは永遠の苦痛を意味する。
それだけ大きな事を言うだけの材料がどこに…
家族達すら佳代の心意を計りかねていた。
家族でないマリナは当然…
屍美女ならぬ彼女にその重大な意味は解らなかったが、驚くと同時に大きなチャンスに身を震わせた。
だが、その後…佳代の口から出た言葉は、ここに居る全ての者にとって予想外すぎたのである。

「我らの駿坊と交合わって、それでも同じ事が言えるなら構わぬぞ…ああ、駿坊は拘束したままにしておくから、好きにできるならやってみるがよい」
駿も含めて、全ての者が度胆を抜かれるような佳代の言葉…
屍美女らしい決着と言えばそれまでだが、何とも大胆な言葉だった。
「少なくとも駿坊ぐらいを従わせられんようじゃ、我らの主等務まらんぞ…それに貞操を守りたいとか言う中途半端な覚悟なら、大人しく黙っておればよい…どうするも、嬢ちゃんの自由じゃ」

思わぬ言葉にマリナは言葉を失う。
人間である…しかも、どちらかと言えばまともな思考のマリナとしては、すぐに『はい、そうですか』と言える話ではない。
恋人がいながら他の男になんて…と言う思考は全くもって当然だが、彼女が相対しているのは人間でなく屍美女である。
「現状、我らも嬢ちゃんの意見を聞く筋合いはない…じゃが我らにとって、駿坊を押さえられると何もできん…危害を加える以外で駿坊を嬢ちゃんが支配できれば、自然と我らを従わせれるじゃろ」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す