屍美女の大群 149
思わぬ難さに驚きと戸惑いを隠せない綾子たち。
特に殴りかかっていった綾子と美羽のダメージは大きい。
手首を傷めたり変な方向に曲がっていたりしている。
これが屍美女でなかったら、即病院に行かねばならなかっただろう。
「変な色してると思ったら・・・やっぱりコイツらも新種か何かなのか!?」
綾子のその推測は当たっていた。
実は目の前の屍美女たち、なかった手や足を再生するために鉄やコンクリートを食って進化した連中だったのだ。
新種である彼女らは他の屍美女と比べて鈍重だが、その代償に頑丈な肉体を手に入れた。
メタリックに輝く手足や髪の毛はその証ということらしい。
さすがに新種発生の経緯まではよく知らない綾子たちであったが、敵の防御力はとんでもない脅威であることはすぐに理解した。
「ど、どうしよう綾子さんっ!?明日香の突きが効かないよっ!?」
「落ち着けっ!打撃や武器が通じなくてもやりようはある!」
動揺する明日香や美羽に、綾子は一喝する。
その一言で静那は綾子の言いたいことを瞬時に理解した・・・が。
「しかし綾子殿。どうするのですか?わらわと明日香殿は格闘戦に向いておりません」
「・・・とりあえず、敵はあたいたちより少ない。
あたいと美羽が何とか2匹をしとめる間、何とか時間を稼いでくれ」
「・・・承知」
「え?え?どういうこと?」
2人の間で交わされた会話の意味がわからず、明日香と美羽は混乱する。
どうやら武器は捨てて格闘戦に持ち込むつもりらしいが・・・。
それを聞くより先に敵さんが痺れを切らして、襲いかかってきた。
「来たぞッ!明日香と静那は2人がかりで1匹押さえつけろ!
美羽ッ!オマエは得意な蹴り技で1匹適当なヤツの頭を蹴り飛ばしてやれッ!」
「え?え?」
「は、はいッ!?」
明日香と美羽が混乱する中、2回目の攻防が繰り広げられようとしていた。
「グアァァァッ!!」
「なめんなァッ!?」
迫り来る屍美女に、綾子はタックルで迎撃。
カウンター気味に入ったタックルを食らった敵はわずかに呻いて地面に倒される。
「ガアァァァッ!?」
「うわわッ!?く、来るなぁッ!?」
その隣では若干引きつつも、敵のこめかみに必殺の蹴りを食らわせる美羽。
混乱しててもしっかり綾子の言いつけを守っているあたり、さすが親子、さすが屍美女の主従関係というところだ。
だが問題なのは明日香と静那のほうだ。