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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 133


「・・・駿坊。その2人はあたしらだけでなく、駿坊まで化け物として見ている。
 それでもいいのかい?」

それは裏切られる覚悟があるかを問う質問。
今でこそ従順な2人だが、脱出の際に自分たちを切り捨てるかもしれない。
本土に着いたらそこにいる人間たちに連絡して、自分たちを駆逐しようとするかもしれない。
真堂姉妹を仲間に引き入れるとは、そういう覚悟がなければならなかった。

「・・・うん。ぼくはこの人たちを助けたい」

駿はわずかな逡巡の後、そう答えた。
駿の脳裏には故郷や友達、近所の人たちを捨て逃げようとした記憶が浮かんでいた。
あの時駿は屍美女と化しつつあった明日香と美羽を助け出すのが精一杯だった。
まわりでは助けを求める声や悲鳴、断末魔が絶え間なくあがっていたというのに。
駿はもう誰も見捨てたりはしたくなかった。
できることなら、蘇ったという屍美女たちも助けたいとすら思う。
だが助けられる数にも限界があるゆえに、駿は彼女らをかばったのだった。
少しでも後悔しないで済むようにと。

「・・・そうか。ようわかった。駿がそうしたいならそうするがええ」

駿の気持ち(=覚悟)を察した佳代は、どこまでも優しい笑顔で駿の頭をポンポンとたたいた。
その態度に猛反発したのが他の屍美女の面々(智恵美除く)だ。

「ちょっ・・・ちょっとお母様!?正気ですか!?」
「こんないつ裏切るかもわかんない連中を助けるなんて!」
「そうよ!それにそもそも2人にけじめだってつけてもらってないじゃないっ!」
「人間である2人が、あたしらにここまで肌をさらしたんじゃ。
 けじめは十分つけたと思うがの?」
「佳代殿、納得できません。
 その程度では覚悟を見せたことにはならないかと」
「そうだよっ!お兄ちゃんをおばけ扱いした人を許す必要なんてないよっ!」
「み、みんなちょっと落ち着いて?仲良くしましょう?」
「智恵ママは黙ってて!」

口々に反論する家族たち。
のんびり屋の智恵美が落ち着かせようとするも、姪の美羽に一喝されて役に立たない。
喧々囂々と文句を言う家族たち。
そのあまりの言いように、駿が反論しようとしたその時だ。

「・・・ほお?あたしの言うことが聞けない、と?」

ゾクウッ!!

佳代のその一言で家の体感温度は一気に下がり、その場にいた者は思わずその動きを止めた。
佳代の恐ろしさを知らない静那ですら、その動きを止めてしまった。

「そーかそーか。しばらく死んでた間に、おまえらもずいぶんと成長したモンじゃの〜」

駿のときと同じ、どこまでも優しい笑顔。
しかしその笑顔にほだされるものは誰一人としていない。
特に反論していた屍美女たちはひどく怯えている。
佳代の目がまったく笑っていなかったのだ。

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