屍美女の大群 128
「ダメじゃ。1人2人ならまだしも、あそこには先祖の他にも、人体実験の犠牲者たちがたくさん眠っておるはず。
いくら駿坊でもそれだけの数が相手では、助ける前に駿坊が干からびてしまうぞ?」
「干から・・・!?」
その光景を想像して絶句する駿。
響香たちと島を脱出するとき、半分ミイラ化した男にしゃぶりついていた屍美女たちの忌まわしい記憶がありありと蘇ってきた。
とにかくこうして駿たちは島の脱出に向けて3つのグループに分かれることになった。
すなわり潜水艦の修理、駿たち人間の護衛、施設の封印の3つだ。
今日はもう日も遅いのでこれで終わりにしようとしたその時。
先ほど自分たちの事情を説明した娘が待ってくれとばかりに声を張り上げた。
「ま・・・待ってくださいっ!
まだこの島には私たち以外にも生き残りがいるんですっ!
どうか・・・どうか聡君たちを助けてくださいっ!」
「アンタたち以外の人間、じゃと・・・?」
その言葉にさすがの佳代も目を丸くする。
屍美女の封印をといて、2人も生き残っているだけでも奇跡だというのに、まだ生き残りがいるとは思わなかったのだ。
聞くところによると、彼女たちは5人の犠牲を払って森に隠れていたところ、あの獣人ゾンビに襲われ、散り散りになってしまったらしい。
「お、お願いしますっ!どうかみんなを・・・聡君たちを助けてくださいっ!」
「お願いしますっ!」
懇願する仲間にならい、もう1人の女性も床に頭をこすり付けて仲間の救出をお願いする。
駿たちからすれば、彼女らの願いを聞く義理などまったくない。
むしろ島の平和を乱し、島を捨てねばならない状況に追い込んだ彼女らを責められる立場にある。
みながリーダーである佳代の言葉を待つ。すると。
「・・・『聡君』とやらはアンタの大事な人なのかね?」
「は、はいっ!」
「さ、聡さんはお姉ちゃんの恋人なんですっ!」
佳代の言葉に慌てて答える2人。
名前も聞いてなかったが、この2人どうやら姉妹らしい。
姉妹の返答に佳代は『ふむ』と一言うなると結論を出した。
「いいじゃろう。こちらもできるかぎりアンタらの仲間を探す努力をしてみよう。
しかし夜に動くのは危ないし、今島をうろついている連中がどれだけいるのかもわからん。
脱出する準備の延長となるが、それでもいいかい?」