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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 125

だが、屍美女の特徴である胸はそれなりにあるものの控え目で、獣らしい体毛に覆われた股間は湿っている様子は無かった。
「不思議な生き物じゃのぉ…まぁ、我らもその不思議な生き物じゃがな…」
苦笑して佳代は獣人娘から目を離した瞬間…
今までピクリとも動かなかった獣人娘が、バネ仕掛けのように跳ね起き、佳代の喉元目がけて飛びかかった。
「お母様っ!!…」
一瞬、反応が遅れた綾子も止めれなかった。
勿論、目を離した佳代すら意表を突かれていた。

「グギャアァァッッ!!!…」
獣人娘の鋭い牙が佳代の喉元に喰らいつこうとした瞬間…
ドスンッ!、ドスンッ!と鈍い音と共に獣人娘は吹き飛ばされてしまった。
獣人娘を貫く二本の矢…それは弓の名手、静那が屋上から放った矢だった。
まるで西部劇の速打ちのような速射…それこそレーザービームのような速さで二本立て続けに首と胸の急所を正確に射抜いていた。
不死身の怪物に急所が関係あるのかは別にして、恐るべき腕前である。
「お母上…大事無いでしょうか…」

屋上から弓を持ったまま飛び降りる静那…確かに佳代と言えど、静那の矢がなければ噛み付かれていたかもしれない。
「お陰で助かったわい…痛い思いはしたくないもんじゃからの…しかし、凶暴じゃのぉ…」
矢に貫かれながらも、ムクリと起き上がり獣そのもので唸る獣人娘を、佳代は半ば呆れ気味に見る。
本能に忠実な屍美女の特性の所は、快楽でなく破壊衝動に働いているようだ。
単体では、こちらの戦闘力が勝っているようだが…不死身同士で戦う不毛さを感じていた。

下手に家に入れて、人間である駿なんか襲われればひとたまりも無い。
それに誰も駿を危険な目に会わせたくないし、そんな危険要因を駿に近づけたくもない。
サンプルで確保しておこうとも思ったが、こんなに凶暴ならお手上げだ。
「厄介じゃのぉ…」
そう佳代が苦笑する横で、身構えた綾子が間合いを詰めると、獣人娘は不利を感じたか…後ずさりしていく。
「捕獲しますか?、お母様…」
そう聞く綾子だけでなく、静那も弓を構えて佳代の指示を待つ。
「もう、よいぞ…こんな凶暴な獣を家に入れる訳にはいかんからの」

傷つけられ弱った凶獣は、憎々しげに自分を傷つけた女とその仲間たちの顔を覚えようとにらみつける。
今すぐにでも仕返ししてやりたい。このノドと胸に刺さった矢を同じように突き立ててやりたい。そして。
あの妙な形をした巣の中から放たれるかぐわしい『何か』を奪ってやりたい。
しかしさすがの凶獣も、彼我の実力差がわからないほど愚かではなかった。
獣娘は悔しそうにうなりながらじりじりと後ろ向きに後退し、そこから立ち去っていった。
すぐ走って逃げないあたり人間のようでもあり、獣のようでもある逃げっぷりだった。

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