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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 123

「只の人間なら…取って食いはしねえよ…」
綾子の言葉に女達は少し緊張を解いたようなほっとした表情となる。
どのみち、この距離であの綾子の戦闘力を前にして逃げられる可能性が無い事は彼女達でも解っている。
後は、理性がある限りは話し合いで解決できる可能性がある…彼女達とすれば、そこしか望みは無い。
そんな彼女達の思いは別に、綾子は値踏みしながら綾子なりに考えを纏めていた。
『喰っちまう』のは簡単だが…彼女達はこの顛末について知っている可能性がある。

なら危ない獣人屍美女より、彼女達を連れ帰った方が得策である。
まぁ、何も情報が無いなら…それこそ『喰っちまう』と言う事で決着が付く。
綾子はそう判断すると、彼女達にゆっくり近づき、座り込む彼女達の前でしゃがんで目線を合わせる。
「この怪物野郎からは助けてやるが…アタイと来て貰うぞ…嫌なら残っていいが、どうする?」
内容も含めて綾子が言えば脅迫にしか聞こえないが、それでもなるべく優しく言っている。
勿論、彼女達には頷く以外の選択肢は無い。

ブンブンと首を縦に振って頷く彼女達を満足げに見た綾子は、彼女達を脇に抱え、飛ぶように家に向かって走り出した。


綾子の帰還は、屋上にいた佳代達全員確認していた。
「綾子…帰ってきたみたいだけど…あれ、何かしら?…」
智恵美が小首かしげながら呟く通り、屍美女の目には綾子が抱えた者が人間らしい事は確認できた。
「食料…かの?…まあいい、何も付いてきとらんようじゃし、下に行って鍵を開けてやるぞ…静那さんとあーちゃんはこのまま見張りを頼んだぞ…」

佳代はそれが何らの情報源だろうと想像しながら、家族に指示を出してから下りる。
いくら駿に依存し、駿の奴隷状態の彼女達とは言え、一家を率いていく判断は駿には無理で、佳代がしなくてはいけない。
言うなれば、屍美女の集団は動物の牝主体の群と同じで、駿はその群に所属する牡と言う事になる。
牝主体であるから、当然の如く群のリーダーは佳代で、他の家族達も本能的に群のリーダーに従っている訳である。
そんな所は彼女達も、本能に忠実な屍美女なのである。

一足先に屋根から飛び降りた佳代は綾子を出迎える。

「よう無事に戻ったな、綾子。・・・して両脇に抱えているのは誰じゃ?」
「んーと、駿君以外の・・・人間?
 何か襲ってきた変な連中を連れ帰ろうとしたら見つけました」
「ほう?これはまためずらしい土産を持ってきたもんじゃな」

その言葉に両脇の女性たちは『ひいッ!?』と悲鳴を上げる。
目の前の佳代が屍美女であることはすぐにわかったからだ。
・・・と言うか、化け物が戻るとしたら化け物の巣しかないわけだから、すぐわかるのも当然か。

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