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屍美女の大群
官能リレー小説 - ファンタジー系

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屍美女の大群 122


「ふーっ・・・。やっと逃げたか。それにしても何だよ、こりゃあ?」

綾子は顔にこびりついた血や汗を拭き取ると、生け捕りにした獣人ゾンビを見やる。
そう。それはまさに獣人と呼ぶにふさわしい容貌だった。
ベースは人間のようだが、下半身・・・特に足は犬やネコの足で、尻からは犬のようなシッポが生えている。
肩や足にはふさふさと毛が生えており、人間の耳のある場所には大きな三角の獣耳がついている。
口から牙がのぞき、手からは鋭い爪が伸びている。
コスプレっぽい格好だが、足やシッポを見れば本物で。
そして先ほどまでの獣じみた動き、戦法を考えれば獣人の存在は疑いようもない。
しかし綾子は思う。自分が蘇ってから今日までの間、こんな連中はいなかったはずだ。
だとすると連中はどこからやってきたのだろう?
綾子はしばし考えたが、難しいことを考えられない彼女はすぐに思考を放棄した。

「ま、いっか。とりあえずコイツをお母様のところに連れて行けば何かわかるだろ」

綾子はそう言って獣娘を拾い上げようと手を伸ばす。
しかし次の瞬間、その手は獣娘でなく隣の小石をすばやく拾い上げ、近くの草むらに投げつけた。
すると・・・。

「ギャッ!?」

小石の消えた草むらから女性のものと思わしき悲鳴が上がる。

「そこに隠れているヤツ!さっさと出て来な!
 さっきからコソコソコソコソ人の様子をのぞきやがって・・・!
 ブチのめしてやるから、かかってきなッ!?」
「ま、待って!待ってください!違いますっ!?
 わ、私たちはあの化け物じゃありませんっ!」

怒りをあらわにする綾子に、草むらからさらに1人の女が姿を現す。
服を着て言葉をしゃべる謎の女性。
違和感ありまくりの存在にさしもの綾子も戸惑いを隠せない。

「んん?な、何だい、アンタら?」

草むらから出てきた2人の女。
それは生き残った漂流者、その5人のうちの2人であった。
綾子もどう見ても屍美女な訳で、一人の女は怯えきっていて、もう一人の女は怯えながらも彼女を抱きしめ、気丈にも綾子を直視している。
彼女達も綾子が屍美女であることは解ったが、綾子のように明確な理性を持った屍美女には殆ど遭遇した事が無かったので戸惑っていた。
あの怪物屍美女を倒した所を見ると、完全な敵でない気はする…彼女達は怯えながら綾子の値踏みするような視線に耐えていた。
綾子は、ハァと大きな溜め息を吐き、頭をボリボリと掻くと表情を緩める。

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