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魔剣使い
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔剣使い 38

 不可思議なことだが、女は血に汚れてなお美しかった。否、汚れたという印象を微塵も彼に与えなかった。
 血も肉片も骨片も、もはや汚物には見えない。むしろ彼女を金細工と同じほど鮮烈に淫らに飾り立てていた。
 彼に跨ったまま女はスカートの下で男根に女陰を擦りつけた。
 そこは女の興奮の眼差しに違わず、ぐっしょりと濡れそぼっている。竿部分を挟むように、女はゆっくりと腰を前後させた。襞がぬらぬらと肉棒を滑り、ぬちゅ、と水音が断続的に響く。
「あっ…ふ…」
 幾度か熱心に擦りつけてもなお、女はタナハのものを挿入させるつもりはないようだった。
 ぱかりと、中指の爪が外れた。その指だけはつけ爪を施していたらしい。短く整えられた、透明な爪先があらわれる。彼女はその中指を捲り上げたスカートの中に差し入れると、ず、と一気に根元まで女陰に突き入れた。
 指が中を激しくかき回している様が、彼からは見て取れた。
 目が離せない。女も、わざわざ見せつけるように腰を前に突きだす。
 
 と、不意にギシ、とドアの外で物音がした。
 空耳ではない。証拠に、女の動きが同時に止まる。シ、と彼女は人差し指を彼の唇に押し当てた。
「静かに。騒いだら殺すわ」 
 女がゆっくりと顔を上げ、扉の方に目を向ける。
「今度は誰かしらね。一人じゃないみたい」
  呟きにかぶせるように、ドアが叩かれた。
 無言で女に促され、タナハはドアに向かって誰何した。
「ど、どなたでしょう?」
「この部屋に宿泊のヤーマー・タタナハルさん?」
「そうですが…」
「警衛使庁の者です。宿の経営者から騒ぎの通報があったので様子を見に来ました。何か問題でも?」
 女の唇が、かすかに笑みの形にゆがんだ。
 タナハにしてみれば、ようやく来た救いの主だ。だが、女の笑みを前に、口にできる言葉は一つしかなかった。
「いえ、何も…何かの間違いじゃ、ないですか」
「そうですか? 三人ほど、破落戸らしいのがこちらの部屋に入って行ったと言うんですが」
「気のせいだと…その、取り込んでいるので、引き取ってもらえませんか」
 しどろもどろになりながら、何とか彼はそう返答した。
 ドアの外で、数秒間の沈黙があった。その沈黙ののち警衛使は、わかりました、と言った。
「最後に確認だけ。ヤーマーさん、室内にはあなた一人ですか?」
 妙な問いだと彼は思ったが、先刻と同様、返せる言葉はただ一つだった。
「はい…」

 歓楽街ではよくあることなのだろう。救い主の警衛使たちは、深く追及することなくドアの外から離れていく。足音の音量とともに消えていく気配に、彼の目の前は真っ暗になった。
 タナハの対応に満足したのか、女は彼から離れベッドを降りた。
 だが、最初の計画通り、荷物を盗って出ていこうとはしない。彼女はナイフを見つめていた。そして床に散らばる肉塊を。

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