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魔剣使い
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔剣使い 34

 だが保守的な田舎町のこと、『男性用』の存在は知っていても需要はなく、仕入れたことはなかった。まさかそれを、自分に使われる日が来ようとは。都会は恐ろしいところだ。

「あっあっ…」
 などと、考え事をする余裕もそうはなかった。いつしか彼は、口から涎、目じりから涙を垂らしながら小刻みに震えることしかできなくなっていた。
「女の子みたいに啼くのね」
「は、早く、出させてくれ…」
「ダメ。こんなに早く出しちゃって…お仕置きよ。耐えなさい」
 乳首を、尖らせた真っ赤な爪がぎゅっと抓る。鋭い痛みに彼が顔をゆがめると、女はくすくすと笑った。そして、おもむろにいくつも連ねた腕飾りの一つを外した。
 黒い肌に映える象牙や金細工の中、ずいぶん地味な布製で、巻き付けてから太さに合わせて調節するようになっている帯状の飾りだ。
 どうするつもりかと、視界がにじむ中見守っていると、彼女はそれを男根の根元に巻き付けた。きりきりときつく締め上げ、バンドを留めてしまう。
 先走りをだらだらと垂れ流しながらそそり立つ男根をそのままに、女はベッドから降りた。
「ここで見ていてあげる」

 見ていてあげる、などと言いながらも、女は彼を放置してかえりみなかった。時おり解放を懇願する彼に、言い聞かせるように我慢しろと命令を下すばかりで、しきりにごそごそと動いている。彼は首を動かして、彼女が何をしているのか見ようとした。
 彼の荷物をさぐっているのだと気付いたのは、少し時間が経ってからのことだった。
「な、なに、してるんだ…?」
 そう質すと、彼女は手を止めた。
 だが問いには答えず、彼女は逆に、不可解そうに首をかしげながら訊ねてきた。
「おかしいわね。あなた、お仕事は何をしているの?」
 意図がわからず、彼は素直に答えた。
「ど…道具屋だけど」
「道具屋?」
 女は顔をしかめた。
「荷物はこれで全部かい?」
 豹変した口調に、タナハは目を瞠った。
 顔つきまで変わっている。美しさには何の違いもないが、にじみ出る高級感が失せていた。
 下品というほどではないまでも、蓮っ葉な本性が露出してしまっている。

「地方で名を売ってる魔剣使いが、都に入ったってネタが出回ってね。人相風体があんたにそっくりなんだけど…どうやら人違いだねえ。剣どころか、小刀一つ持ってないじゃないか」
 そう、ため息をつきながら肩をすくめる。タナハはぽかんと口を開けた。
「道具屋ねえ。確かにあんた、いかにも道具屋って感じだわ。S級の魔剣使いにゃ見えないね、悪いけど」

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