モンスターハーレム 第2章 93
それでも戦わなきゃならないなら、精神統一してそれ相応の覚悟を決めたからやりたい。
少なくとも出会いがしらに殺し合えるような相手じゃない。
「ラグッ!?」
「「ラグ様ッ!?どうなさいました!?」」
思わず盾にしたロカの後ろに隠れたオレは、あの時のことを思い出しながらキツい一発を入れられることを覚悟した。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・、・・・?」
が。来ない。いつまで経っても殺人パンチも噛み付き攻撃も、何もやって来ない。
さすがに不思議に思って、そろそろとロカの後ろからのぞいてみると。
そこには相変わらず殺意MAXの視線で、こちらを見ているサークの姿が。
ピクピクと動いてはいるがそれだけだ。
・・・もしかして動けないのか?
オレはしばらく彼女が動く気配がないことを確認してから、おそるおそるサークに近づいていった。
だまし討ちや不意打ちをさけるための用心である。
しかしそれらは全て必要なかった。
相変わらずすさまじい形相でにらんでこそいるがそれだけ。
サークはホントに動けないようだった。
そこでオレはサルスベリが言っていたことを思い出す。
(そうだ。バーサーカーであるコイツは生命力がすごいんだ。
確か回復させすぎるとその時点で襲ってくるかもしれないとか言ってたな。
・・・つーことは、今のサークは意識が戻るくらいには回復したってことか?
暴れるどころか、動くことはままならないって感じだけど)
オレはおそるおそるサークに近づくと、つんつんと突いて相手の反応を見る。
しかし彼女は低くうなりながらにらむばかりで動かない。
どうやら本当に動けないようだ。
オレは思わず安堵のため息をついた。
ここから先、どうやってサークの治療と調教を進めるかという問題があることをすっかり忘れて。
そして、外では。
「ああ、ラグ様・・・・。」
やや怖気づいているオレを見て、ラムレーネたちが心配してくれていた。
相変わらずサルスベリは銃口を突き付けられている。
そんなサルスベリに、さらに背筋を凍えさせる事態が発生した。
「よくも妙な薬を使ってくれたな。斬奸刀術狭霧流に伝わる秘伝の解毒薬がなかったら、危うかったぞ・・・。」
白く煌く、肉厚の刃−−−斬奸刀−−−を手にした狭霧がいつの間にか、サルスベリのそばに来て、首筋に刃を添えていた。
「う・・う・・・」
内に希従念慮、外に恐怖。