モンスターハーレム 第2章 378
「・・・ウチのミミに何しやがった?ババア」
「ほ。その嬢ちゃんはミミちゃんと言うのかね。
驚かせるつもりはなかったんだが・・・いやはや、悪いことしたねえ。許しとくれ」
いつでも攻撃、あるいは防御(回避)できるよう、細心の注意を払いながら悪態をつくと。
ボーデンのばーさんは意外にも素直に謝った。
三王の中で、もっとも温厚で心が広いというのは本当のことだったようだ。
だがいくら温厚でも、それでハイそーですかと警戒を緩めるほどバカではない。
むしろ逆に警戒を強める中、今度はサルスベリがその口を開いた。
「・・・で?何を考えているんです?
三王の1人ともあろうお方が、こんなことにおつきあいする必要もないと思いますが」
「何、老い先短いババアが若いコに興味を持っただけさ。
邪魔はしないから安心おし」
「残念ですが、信じられませんね。
申し訳ありませんが、カグラ様のところでおとなしくしててはもらえませんか?」
傲岸不遜を地で行く、あのサルスベリが敬語を使う。
でも誰もそのことに疑問など持たない。
緊迫した空気のまま話は進む。
「やれやれ冷たいねえ。老い先短い年寄りには優しくするもんだよ?」
「ご冗談を」
上っ面だけの極上スマイルで返すサルスベリ。
そこにさらにやっかいな人物が会話に割り込んできた。
「随分と活きが良い坊やだね。実に躾がいがあるよ」
ヴェーチェルがそう言ってオレの右肩に指を突き出す。
その次の瞬間だった。
ゴガァンッ!!
突然重いものをたたきつけたような音がしたかと思うと、長く巨大な1本のシッポがオレのすぐ目の前の床にたたきつけられた。