モンスターハーレム 第2章 86
「安心しろ。麻痺と催眠の効果がある特別製の眠り粉だ。
実験のジャマをされてはかなわんからな」
「て、テメエ・・・!」
「何だ?何回か抱いただけでもう忘れてしまったのか?
私はこういう女だってことを、な」
ちくしょう。
勝者の笑みを浮かべるサルスベリを前に、オレはその一言を思い浮かべ、意識を深い闇の底に沈めていったのだった・・・。
――――
コポ・・・コポポ・・・。
何だろう、この感じ。何か懐かしい。
・・・そうだ。オレがあの『封育樹』とか言う、ナマモノ樹木の中にいたときもこんな感じだったな。
ほら目を開けば、そこは生々しい肉色の小部屋に半透明の膜が・・・。
「・・・って、ちょっと待て!?」
何でオレがそのナマモノ樹木の中にいる!?
夢オチとかそーゆーことかッ!?
オレは混乱のあまり、わけのわからないことを考えながら周囲を見渡す。
確かにそこは忘れもしないあのナマモノ樹木の中。
ただ前回と違うのは・・・。
「う・・・ンン・・・」
「ン・・・あ・・・」
「おお、目覚めたか。久しぶりに封育樹の中に戻った感じはどうだ?」
オレと一緒に封育樹の中を漂うロカとサーク。
そして半透明の膜の向こうで興味深そうにこちらを観察しているサルスベリとアスタナビュートの姿があった。
「て、テメエッ!?オレらを気絶させた挙句に何してやがるッ!?」
「治療と観察だよ。
封育樹に触れられる機会なんて、マッドサイエンティストの私にはそうそう与えられるものではないのでな」
「こ、この・・・何をいけしゃあしゃあと・・・!!」
「おっと、今度はその膜を壊さないでくれよ?
まだ2人の治療は途中なんだ。殺したくないならおとなしくしていてくれ」
「・・・ッ!!」
やりたい放題のサルスベリに、オレは1発ぶん殴ってやりたくなった。
しかし今までの苦労と2人の命の手前、断腸の思いでそれをガマンする。
もっともここから出たらただでは済まさない。
ミミたちと一緒にたっぷりとオシオキしてやる・・・!
そう、2度とオレたちにこんなマネしないように徹底的に・・・!
サルスベリはオレの心情など知らない・・・いや歯牙にもかけない様子で、さっそく楽しい楽しい実験を開始した。
「ではさっそく2人の治療を始めよう。
今オマエたちのまわりに満たされているのは封育樹の樹液だ。
効果は黄金の精液より数段上、と言ったところか。
封育樹だけなら、治療にはかなり長い時間を必要とするだろう。