モンスターハーレム 第2章 53
「オオオ・・・・ガアアッ!」
両眼を紅く輝かせたバーサーカーは、髪の毛を光らせ、紅く光る髪の毛を大量に飛ばしてきた!!!
「ぐぎぎぐぐ・・何だと・・・」
ビスビスビス・・・・・
紅く光る毛が次々にオレに突き刺さる。
オレの前半身を残らず毛で埋めるように。
しかも、紅く光る毛は硬く、そればかりか非常に熱い。
紅いのは赤熱しているからなのか。
「ふぁdszが9てい!!!!」
サークが何か呪文を叫ぶと、刺さった毛たちがいっせいに炎上した!!!!
ゴオアッ・・・!!
「〜〜〜〜ッ!!」
周囲の空気が燃え盛り、呼吸ができない。
ノドが焼けそうだ・・・ッ!
「ラグっち!?大気に宿る水よ!ラグっちの炎を鎮めよ!」
オレを見たキュリエルが、すばやく水弾を放って燃え盛る炎を消火する。
呪文の内容はともかく、ナイスサポートだ。
オレはヤケドの痛みをこらえながら、落下の勢いを利用してブッタ切ってやろうとする・・・が。
バキィンッ!!
「げッ!?」
剣はわずかにサークにめり込んだだけで、着地の衝撃に耐え切れずにポッキリと折れてしまった。
そこに突き出される、サークの正拳。
オレは拳からのものすごい熱さと、内臓を吐き出しそうな衝撃を食らって壁にめり込む。
今までのサークとは明らかにパワーの桁が違うッ!!
オレは血反吐を吐きながらよろよろと立ち上がる。
人間だったら致命傷か、絶対安静クラスの一撃だが、魔物の英雄たちから作られたオレは何とか動くことができる。
さすがにすぐに回復とはいかないが。
一方、剣をめり込ませたサークはと言うと。
「オ・・・オオアァァアァッ!!??」
狂ったように床や壁に八つ当たり、毛針やパンチの嵐をお見舞いしていた。
もはやオレたちのことなど目に映ってすらないようだ。
両目と髪は真紅に染まり、白煙を昇らせ、唾液を撒き散らしながら暴れている。
怒りで我を忘れたのか肩の傷は一向に治らず、灼熱の身体は自らの怒りすら抑えきれずに白煙を発し始めている。
「あっ・・・ちゃ〜・・・。こ、れはヤバい・・・かな?」
「気づくのが遅いわ、この、たわけがッ!?」
「お兄ちゃん!?大丈夫か!?」
「あやや・・・。コレはひどいねぇ。
私ってば攻め専門だから治療はできないんだけど?」
罵倒するロカに続いて、テスたちがオレの傷を心配してくれる。
こうなったのは自業自得なんだけど、やっぱり優しくされんのはうれしいなぁ。
おじさん、涙が出そうだよ。
しかしいつまでもこうしてはいられない。
サークはその怒りを増すかのように、どんどんその熱さを増している気配さえ感じられたからだ。